力石のように、骨と皮になって
アジア大会での中国の強さはぶっちぎりだ。元々人口が多い中国には有力な選手を輩出する要素はあったから20数年前に、アジア大会に参加して以来、中国はたくさんの金メダルを獲得してきた。
だが今回の強さは異常な気がする。いくら北京五輪のために強化されたとはいえ、ここまで強くなれるのだろうか。と疑問をもっていたらスポーツ関係者から可能性としてのドーピングを示唆されて、あっと思った。
ドーピングとは、スポーツ選手が薬物などの不正な手段により、競技成績を上げようとする行為をいう。もちろん国際ルールで禁止されている。だがドーピングはその技術の開発と摘発の繰り返しが歴史である。
薬物ドーピングの場合、薬を飲むことによって、筋肉増強薬、興奮薬、のような賦活する薬だと、私は思っていたらそれだけでない、むしろそうでない利尿剤という手法のほうが近年増えていると聞いて、驚いた。
利尿剤を使って体内の水分を尿として体外に排出する作用を利用して、体重を落とすことに用いるのだ。体重クラス分けのある競技 には都合のいい薬だ。
レスリング、重量挙げなどでは各クラスでメダルを取ろうと一階級下のクラスに無理に出場させる時使う。重量挙げでは5から8キロの減量は普通だという。 元々70キロの選手が減量して60キロに登場すれば、その筋力からいっても有利だ。それも薬を使って苦しまずにできるならこんな都合のいいことはない。
減量というと、かつては蒸し風呂、減食、発汗トレーニングなどで長時間かけた。私などは、「あしたのジョー」でライバル力石徹が過酷な減量をしたことを思い出す。ジョーより上背のある力石は同じクラスで闘うために、無理な減量を自分に強いたのだ。空腹と渇きでぎりぎりまで追い詰められた力石が封印された蛇口の前で発狂寸前に陥るシーンは、漫画とはいえ鬼気迫るものであった。
こういう苦行難行を経なくても、80年代から腎臓病などの治療に使われる利尿剤が一気にスリムな体に"変身"できるようになった。これは体重を下げるということ以外にもステロイドなどの薬物を強制的に体外へ排出させることもできるとあって、たびたび使用されることになったのだ。
だが、健康な体に用いれば水分が抜けてからからの状態にもなるし、心不全を起こしやすくなり、体に有害であることは言うまでもないことだ。
なにより、無理な減量をした力石はジョーのパンチを予想以上にダメージとして受け、かつロープダウンしたときの衝撃も、通常よりも重く受け止めることになり、死に至ったのである。
こういう悲劇に選手たちが陥らないことを、私は願う。
ところで、今朝のワイドショーで岐阜一区の女の戦いというのをリポートしていたが、そこで野田聖子議員のセリフを紹介していた。「私は、あしたのジョーである」というのだ。どうやらダウンしてもダウンしても立つジョーに自分をなぞらえたいのだろう。こんな政争にジョーを利用されるのは嫌だが、野田議員が「女だてら」にジョーが好きだと知って、ちょっぴり好感をもった。
とにかく最近何を見ても聞いても、「あしたのジョー」に結び付けて考えてしまう。
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