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バリカンの思い出

バリカンの思い出

小学校3年の頃、坊主頭だった。経済的なこともあったし、汗かきで汗疹(あせも)がすぐ出来る体質だったから夏にはちょうどよかった。

だけど嫌なことは散髪されるときだ。
父は不器用なくせにすぐ新しいものを手に入れて使いたがる。床屋へ行くお金がもったいないとバリカンをどこかから手に入れてきて、子供らの頭を刈ると宣言した。晩御飯を食べながら聞かされて、私は「えーっ」と思った。母は何にも言わない。反対したってどうせ癇癪を起こすだけだから放っておいたのだろう。だが私はそんなわけにはいかない。実際に頭を刈られるのは私だ。弟はまだ幼稚園だから免れることはできるだろうが、私は絶対に「被害者」になるのは必至だった。内心、ヤダヤダヤダと呟いたが、黙ってわさび漬けを口いっぱいにくわえた。からくって涙が出た。その涙に悲しみも少し含まれていた。

そうだ。バリカンのことだが電動式のスムースに動く代物ではないということを理解しておいてほしい。私が小学校3年といえば、昭和31年。床屋でもまだ手動のバリカンを使用していた。電動式になったのは5年生の頃だと記憶するが。

案の定、いやな散髪となった。
縁側に座れと、父がビニールの風呂敷を持って現われた。日曜の夕方だ。タオルを最初に巻きつけてからビニールを重ねた。首のあたりがしくしくすると言ったら、「ちょっとぐらい我慢しろ」と叱られた。弟が傍に来て珍しそうに見ている。

バリカンを右手でとって、チョキチョキと空で動かしてみて、「よし」と父は満足そうに私を見た。嫌な予感がした。
頭の右下からつむじに向かってバリカンが動いてゆく。髪が短い部分は問題なく動いたが、長い髪の草原地帯に入るや、バリカンは髪にからまれて動きが悪くなった。父は力をいれて乗り切ろうとする。髪が引っ張られる。「痛い」と言う。「なんだこれぐらい、男だろ」と父。さらに深い髪の林に入るとバリカンはとうとう動けなくなった。バリカンを元来た道にもどして、いったん私の頭から外す。

「おかしいなあ、油が足らないのかなあ」と言って父は、バリカンにミシン油を注ぐ。そしてまたバリカンの空ウゴキのチョキチョキをやってみせて、「これでOK」と満足そう。

再開したバリカンブルトーザーは草原を乗り切り、林も抜けて、つむじまであと少しというところでまた引っかかった。父は無理に乗り切ろうとしてバリカンを左右に動かす。髪が付け根からひっぱられて、「イタイ!」と私は叫んだ。「うるさい」と父は苛立つ。「もう止めようよ」「ここだけが問題なのだ。ここさえ出来れば後は簡単なのだ。なんでも簡単に諦めてはいかん。それがお前の意志の弱いところだ」と逆に説教までされる。
そんなことを言ったって、頭を刈られている私の身になってみろ。痛いから首を振ると、余計に髪がからまってバリカンは動けなくなる。さらに父は無理やり動かそうとする。「イタイ、イタイ」とわめくと、父がバリカンを髪からごそっと抜いた。
そして、そのバリカンで頭をこづいた。バリカンの刃が頭皮に食い込んだ。あまりの痛さに涙がぽろぽろ出た。弟がフシギそうに見ている。恥ずかしいし口惜しい。
「もう嫌だ!」と立ち上がった。
「じゃあ、止めろよ」と父は言い放った。
(止めるたって、このままでは虎刈りだ。どうやって月曜日から学校に行くのだ)と一瞬思った。が、このまま続けるのも嫌だった。腹立たしいから、声を出して大きく泣くことにした。「勝手にしろ」と父はさっさと下に敷いていた新聞紙を片付け立ち上がった。

母が出てきて何かぼそぼそと父に行ったが、父は「もう知るか」と出て行った。

哀れな私は虎刈りで首にビニールの風呂敷を巻きつけた安物のお地蔵さん状態だ。母は風呂敷をとり、タオルを外してから、私に50円渡した。「残りはコジマへ行って、ちゃんと散髪してもらって・・・」とぶつぶつ言った。

コジマまで行くのが恥ずかしかった。仕方ないから野球帽をかぶった。コジマで頭を見せるときはもっと恥ずかしかった。やっぱりコジマの親父は言った。
「何や、この頭は」

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by yamato-y | 2006-11-18 12:41 | 魂のこと | Comments(0)
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