赤い月
映画館を出たら、赤い月が出ていた。
話題の映画「ゆれる」を見てきたのだ。テレビマンユニオン製作、監督・脚本は西川美和、出演が今売れっ子のオダギリジョー、香川照之。
「蛇苺」に次いでの西川監督第2弾、前評判の高い作品。
見た感想は、まず1800円払ったことは後悔しなかった。それなりに面白かった。だが後味がいまひとつ。すっきりしないのだ。映画を見た後の高揚感というか、充実感というか、燃え上がるものを感じないのだ。そこが気になる。
物語は、東京で写真家として活躍する猛は、母の一周忌で帰郷した。
父とは折り合いが悪いが、たった一人の兄・稔とは悪い関係ではない。兄は父のガソリンスタンドを手伝っていていまだに独身だ。幼馴染の智恵子はその店で働いている。
久しぶりの帰郷で、猛は智惠子と会い深い仲となる。
翌日、兄弟と智惠子の3人で渓谷へと向かった。智恵子は猛のいる東京へ行きたいというそぶりを見せるが、猛ははぐらかす。そして、一人でつり橋を渡って撮影して歩く。
そんな彼がふと吊橋を見上げた時、橋の上にもめている様子の稔と智恵子がいた。そして次の瞬間、智恵子の姿はなく、うろたえる稔の姿だけがあった…。
兄と弟の複雑な心模様を、『蛇イチゴ』の西川美和監督が丹念に紡いでゆくのだが、どうも中途半端な部分があって、私はそこに苛立ちをもつ。
脇を固める伊武雅刀、新井浩文、蟹江敬三らはそれなりにいいが、どうもテレビドラマ疲れが伊武、蟹江に見える。圧倒的に香川照之がいい。乾いた、ふて腐れたような放心した表情など卓抜だ。
それにしても、監督、脚本の西川は才能がある。1974年生まれと聞くと、末頼もしい。
この映画5点満点の、3・5。
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