ある妬みの感情
大磯へ戻ってきた。山道を上がりながら、今日のブログ記事はつなぎのようなものだと反省しきりであったので、自宅へ戻ったらきちんとして書こうと思って、ポストを開けた。
番組の案内葉書が届いていた。明るいところで読むと、「イタリアへ・・・~須賀敦子 静かなる魂の旅~」と記されてあった。一読して、かっとなった。須賀敦子のテレビドキュメンタリーが作られるとすれば私以外にあるまいと、勝手に思い込んでいたのでその葉書は私の急所をざらっと一撫でした。怒りとも嫉妬ともつかない青白い炎が一瞬にして身内に燃え上がった。
葉書の差出人は、テレビマンユニオン会長の重延さんになっている。どうやら重延さん自身が脚本・演出を担当したようだ。今年の芸術祭参加作品と銘打たれている。朗読は原田知世で、第1話は11月5日BS朝日放送とある。
むん?第1話「トリエステの坂道」。ということは、この後ミラノ、ベネツィアと続いていくのだろうか、いや続くに決まっている。炎はますます燃え上がる。
うかつであった。須賀敦子が民放が制作するとは思いもよらなかった。あるとすればNHKで、もしそういう動きがあれば、私がかつて制作した「人間マップ・須賀敦子」を使用したいと連絡が入るだろう。それがない限り誰も手を出さない、次に作るのも私だと思い込んでいたのだ。須賀が生前出演した唯一のテレビ番組だから。
これまでも、須賀敦子のイタリア紀行をやりたいとは折に触れて発言してきた。その都度、局側から問われたのは、どういう切り口でどんなスタイルの番組にするのかということだった。
元々、須賀の文章は映像的だ。トリエステの坂道などは読みながら画が浮かんでくる。そのイメージの画を、現実の画で載せたら、それこそ実もふたもないではないかとたしなめられてきたのだ。絵葉書のような、名曲アルバムのような映像に、須賀の文章を朗読しただけなら芸がない何か新しい手法・切り口を考えてきてください、それから話し合いをしましょうと編成担当者から言い渡されていた。だから手法が思いつくまで、この企画の提出するのを留保していたのだ。
こういう番組が出ると、二番手はなかなか企画が通らないものだ。まして、作品の出来がいいとなおさらだ。うーん、私の実行は遠のいたのか・・・。
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