週の初めから雨
10月の第1週から雨となった。今年の秋は天候不順が続く。
今週から放送局は各局新しい編成で臨む。秋の新番組がこれから登場するのだが、話題がない。視聴者の耳目を集める番組、特集、話題がないのだ。
80年代終わりには、障害をもつ人の社会参加が大きな関心をあつめた。さまざまな局面で、社会進出をめざす障害者もサポートする人も懸命に戦っていた。その頃、12月1日は障害者の日として、大きな特集番組が数年にわたって組まれたものだ。私も2年ほど関わった。
そのとき、心に残った1本のドキュメンタリーがある。それは「車椅子ジャーニー」と言う番組で、足に障害をもつ若い女性が車椅子で埼玉から祖母の住む鹿児島まで旅をするという「物語」だ。今では車椅子の人が一人で旅することも珍しくないが、当時はまだ周囲の理解が進んでいなかったのだ。主人公は旅をするためにはある決意をしなくてはならない。周りの協力を得るために恥ずかしさと闘って「協力を求めるために」大きな声を出す、ということだ。当初おずおずとヘルプを口にしていた彼女が次第に大きな声になっていくというドキュメンタリーだった。
番組を編集室で試写しながら、感動した。繰り返し番組を見ても主人公のけなげな心の動きに、毎回熱いものを胸うちに感じた。彼女の“闘う”姿も素晴らしかったが、周辺で手を差し伸べる見知らぬ人たちの善意も心に沁みた。
バブルが崩壊した後だったと思うが、あの頃人々は今よりずっと優しかったという気がしてならない 。他者に対してきちんと関心をもっていた。むろん偏見もあったが、それを上回る善意があった。
現在はどうだろう。朝、山手線に乗って乗客を眺めた。9時半を回っていたから勤め人は少なく、中年女性や化粧する若い女性が目に付いた。漫画をむさぼり読む青年、ケータイに夢中な若者。みな自分の世界に引きこもっている。他者への関心をもたない。
首相は「美しい国」作りを目指すそうだが、彼の目にも他者への関心があると思えない。そこには下積みや外国人のことはすっぽり抜け落ちている。
仲間内の気のあう者どうしにとって住みやすい国を、そういう美辞で包んでいると思えてならない。
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