椎名誠の”絵本を旅する”
椎名誠の絵本好きは本当だった。二人の子供が小さい頃から、自分の膝に入れて絵本を何度も読み聞かせをやったと告白していた。当時の本をまだ大事にもっている。愛用していたことは、その本の破れた箇所に絆創膏で修理していたことでも分かる。その椎名が「絵本を旅する」と題したドキュメンタリーに出演する。その番組制作の最終段階に入っている。
その番組の中で、椎名が好きな絵本、絵本作家をとりあげている。作家は長新太。好きな絵本は「はなをくんくん」とか「ぐりとぐら」。
と聞いて、私は早速「はなをくんくん」を購入した。
♪静かに雪の降る森の中、動物たちは体をまるめて冬眠中です。野ねずみも、くまも、ちっちゃなかたつむりも、りすも、山ねずみも、みんな目を閉じてぐっすり……。おや? でも、目を覚ましたようです。そして、ちょっぴり寝ぼけまなこで鼻をくんくん、何かに向かって走り出しました。いったい、何が起きたのでしょう……。
といって、動物たちが走り出し、そして見つけたのがたんぽぽの黄色い花。風が冷たい早春の森に可憐に咲いていたのだ。(あえて、ネタバラシ)
なるほど、この物語はページを繰る楽しさに溢れている。次に何が起こるのだろうかと期待が膨らむのだ。椎名の二人のこどもたちはいつも最後の場面で、絵本の動物たちといっしょに「うわあい!」と叫んだそうだ。
さて、この椎名ドキュメンタリーにはいくつも見所がある。山下洋輔とのピアノ対談、茂木健一郎との焚き火対談。それと並んで、五味太郎との絵本対話。
五味が面白いことを言う。オトナにもときどきコドモの心を取り戻すことがある。例えば、夏の夕立。それに出会うとわくわくしてこないか。外へ出て行って雨にうたれたくならないか、と。
同様に、夕日連絡網というのがある、と五味は言う。
「ほら、美しい夕焼けになると電話がかかってくるでしょう。空を見てご覧、今夕焼けがすごくきれいだよって、友達から夕日連絡網が入るでしょう。」と五味は嬉しそうに語るのであった。
このシーンを試写していて、私の中で何かがコトンと音をたてた。
「夕日連絡網」・・・。ああ、何かそんな物語を書いてみたい。
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