イチローの言動
WBCの対韓国戦で、日本が敗退したとき、イチローが「ぼくの野球人生で最も屈辱的な日です」と語った言葉を作家の星野智幸が批判していて、斎藤貴男もそれに共鳴している。
屈辱というのは相手から辱めを受けたという「敵意」がそこにあるということであって、イチローがある意味で韓国を蔑視しているのではないかというのだ。
星野はおまけにイチローは小泉首相に似ていて、《感情剥き出しで仮想的を作り、勝てば自画自賛。相手の気持ちをまるで慮らないデリカシーの欠如までそっくりだ》とまで書く。
そうかなあ。イチローの言い分はたしかに言いすぎのきらいはあるが、根底に韓国蔑視があるとは思えない。単に、「国民」として他所の「国民」に負けたという口惜しさ、日本のほうが先にプロ野球を開始したという先陣意識などが重なって、あの言動になったと思うのだが。
普段会見などしないイチローが口を開くと、意見はやや過激となる。松井であればこういう表現はしないだろう。年は松井のほうが下だが彼は実に成熟している。イチローは自分の語り口は誤解をまねきやすいと知っているから、日頃のインタビューには応じないのだと思う。
イチローは風格もマナーも古武士然としているので、ナショナリズムの匂いがしそうな気がするが、そうではないのではないか。素顔は気のいいアンちゃんだと私は思う。思いたい。
日本の球界にどれほどたくさんの朝鮮半島出身の選手がいて、その輝かしい栄光を築いてきたことか。それはイチローもよく知っているはずだ。
姜尚中さんの高校時代を訊ねた番組で、熊本の母校へロケしたことがある。雨の日だったが、後輩を相手に姜さんは久しぶりにキャッチボールをした。彼は野球部にいたことがある。そのとき、彼は張本勲さんのような選手になりたいと少年の頃思っていましたと、恥ずかしそうに語った。
斎藤貴男は今の格差社会を真っ向から批判していることに、私は好感をもっているが、ときどき逸脱する。そこが人間的で良いといえば良いのだが。
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