馬鹿な習性
自分でも馬鹿みたいと思ってはいても、ついやってしまうことがある。帰宅時、電車から降りて大磯の改札に向かうとき、誰よりも最初にそこを通過したいのだ。
最初は、雨の日にタクシーをつかまえようと急いだことから始まった。私は早足で行こうとする横をさらに駆け足で抜いてゆく中年の男。私より少し年長か、髪は完全に後退している。負けまいと私も急いだ。
競争になった。最後の自動改札で定期を取り出すときモタモタしていたら、追い抜かれた。
その後、タクシーの列に並ぶと前にいた。私のほうを見てニヤリとした。
以来、私の前を行く者が許せない。というほど大げさではないが、電車のドアが開くとつい小走りになる。
6号車の第4ドアが、階段に最短だ。ドアが開くと、バラバラっと数人が階段へ突進する。30段のステップが勝負だ。私はそこを2段飛びで上がってゆく。ここで水をあけるのだ。ロケットスタート。上に着くと誰もついてこない。が気を緩めない。跨線橋の廊下を小走りで抜け、下り階段となる。下りはちょこちょこ降りで素早く下へ。ちょっと振り返って後続を確認する。うん、追っ手とは5メートルの差がある。
そこから改札まで10メートル。ここで油断すると失敗する。駅伝のたすき外しではないが、小走り体勢で、鞄をまさぐり定期いれを探す。見つかると、手のひらに定期をもち、改札機の前に立つ。券をつーっと流すとゴールイン。
やったあ、本日も一等賞。
時々、最後に抜かれることがある。塾帰りの中学生だ。下り階段までトップを疾走していても、下り階段で差を詰められ、最後の直線で簡単に追い抜かれるのだ。悔しい。
だが、若い者ならまだ許す。自分と同年代だけには後塵を拝したくない。
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