細切れ映像の浮遊
21日付けの読売新聞で、動画投稿サイト「YOU tube」のかかえる問題点をリポートしていた。
2005年にアメリカで生まれたこのサイトは、漢字で検索することも出来て、日本からの利用者も増えているそうだ。ここで、よく見られるのはほとんどテレビ番組の一部だ。例えば、例の極楽とんぼの一人の不祥事で、相方が涙の謝罪をしたというテレビ番組から切り出した映像が、300万回見られた。
この映像はむろんテレビ局の許可も受けておらず、著作権もまったく無視して投稿されている。罰する規定もないため、主宰者が見つけたり利用者からの通報によって削除するという方法で事態を収拾しているそうだが、「焼け石に水」状況が続いているという。
デジタル情報はいくらコピーしても劣化しないから、映像送信が簡単に行えることになれば、こういう事態はどんどん広がるだろう。
しかも映像は本来の文脈を離れて組み立てられると、その映像の意図、メッセージも本来と関係ない、いや真逆の意図として使用されることも起こりうる。動画映像の「アイコラ」現象が起こると予想される。
以前から感じていたが、映像をコピーしたりドラァーグしたりすることが容易となれば、自ら取材しなくとも、映像を組み立てて、あるメッセージを語ることができるはずだ。居ながらにして、行ったこともない場所を舞台に自分勝手な「物語」を語ることも可能ではないか。
話はガラリと変わるが、アポロの月面着陸に関して未だに疑っている人たちがいる。現在の映像技術なら、あれ以上の映像の「捏造」もできるだろう。そうなってくると、どれが本当か分からないジャンクな映像がネット空間に膨大な量で浮遊する。という悪夢を、私は幻視してしまうのだが。
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