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定年再出発  


懐かしい空
by yamato-y
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黒い雨の恐怖

偉大な井伏鱒二
黒い雨の恐怖_c0048132_19103719.gif



原爆が落ちた後しばらくたって雨が降った。それは万年筆ほどの大きさのタール状の太い雨で黒かった。触れるとべっとり皮膚についた。夏のカンカン照りにもかかわらず、雨の降る中に入るとぞくぞくするほど寒かった。

と、言うようなことを井伏鱒二は名作『黒い雨』の中で書いている。井伏は原爆には遭っていないが、被災直後の広島を見聞し、実際に被害にあった人物重松静馬から話を聞き、託された日記などを手がかりに書いた。小説といえども実録に近い。

このように、戦後早くから黒い雨の正体は放射能であろうと推測はされていたが、正式に研究、治療ということが行われていなかった。
被爆から40年経った1985年ごろ、広島の黒い雨の降雨地域で異変が起きているという噂が流れ、行政も本格的に調査活動をしようというウゴキが出てきた。

私は1985年当時長崎にいた。長崎でも爆心から風下にかけてやはり黒い雨が降っていた。そこでも住民に甲状腺肥大などの症状が出ているという報告が、長崎大医学部から出ていた。患者の救済が大きな課題になるだろうと予測された。広島と長崎の両放送局が力を合わせてこの黒い雨の正体を解明しようではないかという話になった。そこへ私は参加した。

広島チームが耳寄りの話を聞きつけた。黒い雨が降ったといわれる己斐地区に黒い雨の痕跡が残っているというのだ。すぐに現場に飛んだ。

たしかにあった。民家の応接間の壁の奥にもうひとつ白壁があって、そこに黒々と雨が付着していた。この家に住む一族には母屋と土蔵が元々あった。原爆で母屋がつぶれ土蔵だけが残った。そこへ黒い雨が降って壁を染めた。一家は戦後その土蔵でタケノコ生活を送る。やがて、その土蔵を改造して現在の住宅の形にした。そのとき、白壁を隠すようにして板壁を上から蓋ったのだ。こうして黒い雨は外気にさらされることもなく無傷で残った。

わがチームはその白壁を切り出した。そして、その壁に付着する黒い雨の正体を、日本、アメリカの研究者の手を借りて解明していくことになる。理化学研究所の岡野博士が私たちを指導してくれた。その成分の分析は理化学研究所を中心に行われた。

結果、炭素と珪素と鉄分が析出された。黒の正体は炭素だ。これは原爆で火災となって燃えた家や人体のものであろうと推測される。他の原爆実験は砂漠などで行われているが、そこで火災など起こるはずもなく黒い雨が降ったという報告は皆無である。住宅があって人間に住む地域に原爆が爆発して初めて黒い雨となるのだ。だから、黒い雨の現象は広島と長崎だけにしかない。わずかにネバダでピンクの雨が降ったという話を聞くだけだ。ネバダの土壌はピンクで、これを巻き込んで放射能が雨となったと思われる。
次に珪素は広島の元々の土壌であったろうと推測される。花崗岩の土が巻き上がって雨とともに落ちたのだ。
分らなかったのが鉄分だ。なぜ雨の中に鉄分があったのだろうか。広島の土壌に元来多く含まれていたのだろうか。今の土壌を調べてもそういう結果はでないのだから理由にならない。
ひょっとすると、リトルボーイと呼ばれた原子爆弾そのもの。つまり爆弾を入れた鉄の容器が溶けてガス化して雨となって降ったのだろうか。謎として残った。

 戦後、米ソは地上の核実験を何百回としている。そのデータを取り寄せたが、一つとして黒い雨という記述はなかった。やはり、これは人が住み暮らしている都市での爆発でしか起きない出来事だったのだ。加えて、日本の夏は湿度が高い。燃焼物が核となって雨の素となり、そこに残留放射能が付着して、黒い雨となって再び人間に降り注いだのだ。黒い雨というのは、日本の、夏の、人口が密集している区域で起きた現象といえるかもしれない。

この雨の後遺症は今も続いている。今日のニュースで被爆者の平均年齢は74歳と報じていた。みなさんかなりの年齢に達していながら、まだ苦しんでおられるのだ。

この「黒い雨」の番組制作からほぼ10年後、私は広島に住むこととなる。その私が住んだ町はまさに黒い雨の降雨地域であった。例の土蔵の壁の家から電車で二駅のところで、井伏の『黒い雨』の主人公たちが、原爆を遠めで目撃する場所でもある。主人公たちはそこから市内に向って行く船の上で午前10時ごろ、雨と遭遇するのだ。
《もうそのときは黒い雨の夕立が来てゐたことを思ひだした。午前10時ごろではなかったかと思ふ。雷鳴を轟かせる黒雲が押し寄せて、降ってくるのは万年筆ぐらゐな太さの棒のような雨であった。真夏だといふのに、ぞくぞくするほど寒かった。(略)私は泉水の水で手を洗ったが、石鹸をつけて擦っても汚れが落ちなかった。皮膚にぴったり着いている。わけがわからない。》(『黒い雨』井伏鱒二)
この雨にうたれた姪の矢須子が、原爆症を発症するという物語が、名作「黒い雨」である。文学としてもドキュメンタリーとしても、すぐれたこの小説を、多くの人に読んでもらいたい。

最後に、私たちが制作したドキュメンタリー「黒い雨」では、雨の成分を調べただけではむろんない。放射能の存在を調べたのだ。苦労したが、最終局面でその雨にセシウム137をみつけた。半減期30年の放射線である。
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黒い雨の恐怖_c0048132_19105916.jpg

by yamato-y | 2006-08-06 18:55 | シリーズ作品回顧 | Comments(0)
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