テレビって何だろう
30年以上もテレビと関わって来ていながら、だんだんテレビって何か分からなくなってきた。
私が仕事についた1970年代では有力なメディアといえば、映画、ラジオ、新聞、雑誌しかなかった。おそらく、テレビは自分が何かを問わなくても、自明の存在としていることができたのだ。
状況が大きく変わった。インターネットを中心とする通信の発達が大きな影響を与えていることは違いないのだが、どのように与えているのか、誰もきちんと答えてくれない。だから、放送の側からテレビというものを、再度考察していこうかなと思い始めている。
通信が放送を飲み込むという刺戟的なタイトルの本を読んでいたら、気になる箇所が出てきた。NHKの番組が高い評価を日本というこの国では受けているが、実はそうでもないのだというのだ。つまり、民放の番組があまりに低俗で、比較でNHKが優れてみえるだけで、他の欧米の放送局に比して番組はたいしたことがないというのだ。
商業放送のみのアメリカでも、NHK以上の質の高いドキュメンタリーや自然番組が流れている。その例として、「ディスカバリーチャンネル」を挙げている。
これを書いている人物はいわゆる通信、放送の制度的なことを調べてきたシンクタンクの出身だから、番組の見方についても確たるものがあって言っているのではないだろうが、やや聞き捨てにはならないことだ。
日本の番組の質が高くない目安は、国際マーケットで日本の番組が売買されることが少ないことを挙げている。
たしかにMIPCOMなど海外で開かれる国際見本市で、日本の番組はあまり売れない。かえって、アメリカのドラマなどを日本側はたくさん購入する。これをもって質の低さを語っている。
本当にそうなのか。
また、テレビは草創の時期から「イマ・ココ」ということにこだわってばかりして来た。一度放送したら、途端に番組の価値は低下するという神話を築いてきた。はたしてそうであろうか。ロングテール現象が起きはじめた現在、その神話は揺らぎはじめてはいないだろうか。
このテレビって何だろうということを、少しずつ書いていこうと思う。
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