電磁波の問題
わが大磯もみじ山では今、ケータイをめぐって問題が起きている。宅地中央にケータイの電波塔を建てるかどうかが論議を呼んでいるのだ。
これまでもみじ山は湘南平の山影に入っていてケータイの電波が届きにくかった。それを解消しようとする住民が中心となって塔の建設を図ろうとする具体的な計画が立ち上がってきたのだ。
その予定地の前にすむHさん夫妻は計画に反対である。理由は電磁波の悪影響である。電磁波による人体への影響がこの数年明らかになってきた、そういう事実に目をつぶってケータイ利用を進めるのは反対であるという立場を、Hさんらはとっている。
今朝、ツヴァイク道を降りようとしていたらHさん(夫人)が後ろから追いついてきて、今回の事態について説明を私は受けたのだ。実は、留守勝ちになった我が家では御山でこんなことが起きていることなど全く知らなかった。少し怒っているように見受けたHさんは電磁波の人体への影響を、どう思うかと私に尋ねた。
難しい問題だ。電磁波については14年前に調査したことがある。高圧電線の鉄塔下に住むと人体に有害な影響が出るということを訴えた広島住民の番組を企画したときだ。免疫力が低下した、がんになる人が増えた、アトピーなど子供の体質が変化した、などいろいろな訴えがあった。これらの事例を専門の医者に取材したところ、確たることが言えないという結果を得た。
一つ一つの事例の疾病はたしかにあるが、それが高圧電線が発する電磁波によるという因果関係がいえないというのだ。ないということもいえないが、あると断定もできないと医師団は語った。そこで、この番組は企画がそれ以上進まなかったことを覚えている。
科学がすべて解き明かすとはかぎらない。というか科学とて限界がある。例えばタバコ。20年前に有害説が出たとき一笑にふされた。現代ではタバコが有害だということは一般的に知られている。
アスベストもそうだ。これが危ないということは20年前にヨーロッパではささやかれていたが、日本政府はそれを無視して使用した。その結果が現代に悲劇を生んでいる。
長崎広島の原爆後障害についてもそうだ。放射線の影響によって免疫の低下、精神の衰弱が起きたとヒバクシャがいくら言っても、30年前までは相手にされなかった。当時、ヒバクシャは怠け者で「原爆ブラブラ病」とレッテルを貼られたことだってある。
現代の科学が万能でないから、電磁波影響は虚妄と断定はできないだろう。因果関係がはっきりするのはこれから数年はかかるだろう。そこで分かって処置するというのでは遅いと、Hさんたちは危機感を募らせているのだ。
意見を求められた私は、当面紅葉山には電波塔は不要だと思うと答えた。ここに住む人たちは元来便利さで住むわけではない。自然の良さを求めて入ったのだから、賛否があるツールをあえて導入することは避けたほうがいいのではないかと、考えたのだ。
実際、私自身ケータイそのものがあまり好きではない。これを脳に近い耳で四六時中あてている子供(細胞がまだ未熟な存在)を目撃すると、ふと心配になるのだが。
ひょっとすると、この問題はIT隆盛とからんで今後大きくなってゆくのかしらむ。
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