大伴コレクションの一部、円谷監督のスナップ、怪獣たち
大伴怪獣館
本日の日曜日、池上にある大伴昌司の仕事部屋(通称大伴怪獣館)で撮影をしている。
午前中から部屋の飾りこみをはじめ、午後2時に出演者が入って本番撮影となる。
この館は大伴がなくなってから17年間は、母四至本アイさんの意向ですべて残されてあった。私がドキュメンタリーを制作した1986年当時もすべて保存されていた。
ところが20年を過ぎた頃から、アイさんは少しずつ処分を始めた。出入りした愛好家たちが勝手に持ち帰ることもあった。それやこれやで、この数年のうちに部屋はすっかり様変わりしてしまった。貴重な大伴資料も減り、参考文献や写真類はかなり散逸してしまった。手付かずで残ったのは大伴が集めたLPレコードだけ。
その大伴の部屋を本日復元したのだ。彼が死んだ直後に夕刊フジのカメラマンが仕事部屋、机の上を撮影してあったので、それを手がかりに飾りこんでみた。たくさんの茶封筒に仕舞われていた原画や原稿を引き出してきて机に置いたり書棚に並べたりした。大伴昌司原作の「WOO」第5話の台本はスタッフがコレクターから借り出すなどして立派に仕上がった。
さて、その作業中に大伴の資料が至るところから発見され、あらためて彼の好奇心、才能を知ることとなった。膨大な紙焼きやスライドの写真がある。円谷作品の撮影風景であったり黒沢の「どですかでん」のメイキングであったり、テレビの収録風景であったりするものだ。なぜこういうものを集めたのか、どうして集める気になったのか、理由は判然としないが、おそらくどこを探してもこれほどの質と量を備えたコレクションはざらにないだろう。
2時過ぎ、番組のキャスターみうらじゅんさんと谷村美月さんが怪獣館にやって来る。美月さんは今回の「WOO」の主演だ。撮影スタッフ、付き人、運転手総勢10名余りとなり、ひさしぶりに大伴さんの部屋は笑い声に満ちる。撮影の合間に母の四至本アイさんは歓迎の挨拶をされる。嬉しそうだ。
撮影が始まると、みうらさんは大伴の仕事ぶりにいっきに心を奪われたようだ。原画に目を近づけて熱心に細部を確認する。撮影が終わった後、大伴の仕事をぼくはなぞるに過ぎなかったとみうらさんは大きくため息をついた。むろんみうらさんの謙遜であり大伴へのオマージュであるのだが、大伴びいきの私としては嬉しかった。
この部屋は1973年当時で時が止まっている。その後に生まれた美月さんにとっては部屋の備品や調度品は珍しいものばかり。懐中電灯、ポスター、文房具、等々。なかでもLPレコードプレイヤーが珍しくて、針飛びの意味が分かったとスタッフにささやく。
午後3時半、本撮影が終わった。出演者やマネージャーたちは帰り、撮影スタッフだけでブツ撮りとなる。
私はこの時点で怪獣館を辞去した。
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