


大学の授業
大学で教えはじめて今年で4年目になる。授業のタイトルは映像メディア論A,Bである。
Aは演習のようなものだ。およそ3ヶ月でドキュメンタリー番組を企画、取材、編集して、7月に作品を発表するのだ。
こうして前期の前半を終えたあと、9月に集中講義でBが行われる。
映像とか番組とかは実際に作ってみないと分からないことが多々ある。授業の前半でそれを実践したあと、映像とは何かを考えてゆく仕掛けになっている。
4年前に実践を始めたとき、作るべき番組の枠をどうしようか思案した。そして決めたのが「発見!!京大の××」である。
大学のキャンパスの中の変わったフシギなことを5分程度の番組にまとめることを課題にした。わずかの期間で学生たちはさまざまなネタを探してきた。
オーソドックスなものは文学部図書館にある西田幾多郎の貴重な資料から大学の地下深く眠る水がめまで。中にはキャンパスの名所のコスプレや学生食堂がある方向でまずい食事が並ぶという学食の法則など、実に多様な素材が並んだ。
4月には企画を考え、リサーチをして企画書にまとめる。40本ほどの企画から3本を選び出すことにした。選ばれた企画提案者がディレクター役になる。
5月は、実際にビデオカメラや三脚を担いでロケをする。代わりばんこにカメラを構えたりインタビューしたりして取材を進める。
6月は、撮影したものや資料映像を編集して、ナレーションを付け、形にする。ナレーターは学生の中で声柄のいい人物が選ばれる。
そして、7月に出来上がった作品を、下級生や他の教授たちに見てもらう。発表会である。
2年目もタイトルは「発見!!京大の××」だった。近場のほうが取材をしやすく経費もかからないと、私は策定したのだ。ところが、さすがに3年目となるとネタが切れてきたと思えたので、「発見!!京大界隈」として、取材地域を広げた。すると、白川の地蔵の謎が現われたりドラマ「檸檬」まで出現したのだ。
そして今年。今年はさらに地域を広げ、「発見!!京都の××」にした。そして3本が現在編集まっさかりである。
1本は、たぬきの謎。関東でたぬきといえば天かすが入ったうどん。関西では、京都ではあんかけのそばで大阪はうどんとなる。この違いはなぜかということを追うドキュメンタリー。2本目は、御家騒動で先ごろ話題になった老舗カバン店のその後と現状を調べた作品。3本目は、岩倉にある通称モヒカン山と呼ばれる乱開発された実態を調査したもの。この3本が今必死で編集されている。
私はそばに立って、相談にのったりひやかしたりしている。たかが授業といっても、全員目の色が変わって深夜遅くまで研究室に詰めて編集しているのだ。
さあ、来週金曜日を発表会の日とした。3チームそれぞれうまく制作できることを、密かに願っている。
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