鞄を掛ける
最近、鞄を兵隊掛けにしている。
大学時代から鞄はショルダーバッグだった。当然に鞄は片掛けスタイルとなる。このスタイルに合う鞄を使ってきた。
商売柄、資料を持ち運びできることを優先した。小型で見栄えのいい鞄には見向きもしない。紙資料、書籍が出来るだけたくさん収納できる鞄を好んだ。底にはマチは当然ついていた。ポケットは少なくていい。ありすぎると、どこに入れたか探すのが面倒になるから。ショルダー用の長いカタヒモが付いていなければ見向きもしなかった。手提げしかできなかったら読書できないからだ。
寸暇があれば本を読む。文庫本と単行本は各一冊。ページを繰って本を読むには、両手が空いていないと困る。読書するうえでもショルダーバッグと決めていた。あまりモノをいっぱい入れるので鞄はせいぜいもって3年だった。
三十路前後に、一度リュックを使ってみたが、肩ひも短く窮屈だったのですぐ止めた。
去年定年になったとき、家族がお祝いにプラダの鞄を買ってくれた。退職したのだからこそしょぼしょぼした格好ではだめだというのだ。これまでの鞄で一番高価なものを使用することとなった。
数年前から、若い人の中で鞄をたすき掛けというか兵隊掛けするスタイルを渋谷で見るようになった。私らのセンスでいうと野暮ったくみえる。というか、中学生の頃を思い出す。肩掛け鞄を背負って歩いたものだ。喧嘩をするときも、その鞄をぶんぶん振り回すのが戦法だった。走ると筆箱が鞄の中で躍ってがちゃがちゃいっていた。なんとなく兵隊掛けは古臭い気がしていた。
そのうち、年寄りもそのほうが楽なのか、兵隊掛けするほうが目につくようになった。このほうが鞄がしっかり体にまつわるからひったくりにも強いのだろう。
そして、昨日からトートバッグも持つようになった。パソコンを収納するためだ。プラダにも入るのだが、鞄がすぐ傷むのではないかとけちって、別のパソコン専用バッグも持つことにしたのだ。これはユナイテッドアローの黒のバッグだ。これももう一方の肩に掛ける。すると、まさにバッグをたすき掛けすることになる。
このスタイルは少し悦に入っている。私の好きな、スペイン共和政府支援の国際義勇兵に似ているからだ。なんとなくジャック白井になった気分で、ハチ公前の雑踏を大またで歩いた。
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