ひばり、伝説の東京ドーム①
まもなく美空ひばりの命日がやって来る。ここ数年この時期になるとテレビ各局はひばり特番を放送することが定番となっている。
2年前、私もひばりの特番を制作した。亡くなるまでの半年間に注目して闘病を描いた「最期のひばり」である。その取材を通して、それまで抱いていた美空ひばりというイメージを私は大きく変えられることになる。その詳細はいずれ機会を改めて語りたい。ここでは伝説となったあの東京ドームのバックステージをみつめる。
昭和末期、巨大なスタジアム東京ドームがオープンした。その開幕興行の一つとして美空ひばりの復活コンサートが企画された。そして「不死鳥コンサート」と名付けられたその公演は5万人の大観衆を集め大成功を納めることになる。このコンサートから日ならずして美空ひばりは昇天したこともあって、「不死鳥コンサート」はファンばかりか大勢の人の胸に鮮烈な印象を刻んだ。ひばりが逝って17年経った今もなお伝説のコンサートとして語り継がれている。
この企画がひばりの耳に入ったのは昭和62年の6月、福岡で2回目の入院していた頃だ。翌年の春に水道橋の旧後楽園球場の隣りに東京ドームという巨大な施設が出来るという。日本で初めての屋根つき球場である。日本武道館の約13倍の大きさだ。最大5万6千人の観客を収容できるという巨大空間。ここでは野球だけでなく、他のスポーツやコンサート、展示会など多目的で使用されることとなっていて、こけら落としの一つとしてひばり復活コンサートの話が持ち上がったのである。
正確には「不死鳥 翔ぶ! 新しき空に向かって」と題されたコンサートは、文字通りひばり復活を内外に示す機会にもなる。日本人のアーティストとしてまだ誰も挑んだことのない巨大ステージ。ひばりの心はおおいに動く。早く病気から立ち直ってファンの前に立ちたい。歌を歌いたいと周囲に意欲をもらす。このコンサートのために半年前から準備が始まった。300名以上のスタッフが集められ、そのコンサートのためのプロジェクトが立ち上げられたのである。
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