大人たちの文化祭
先日広島へ行ったとき頼まれて、高校の放送部部室へ行った。放送番組コンテストに出品する作品を一度見て欲しいということで、私は夕方その高校へ行ったのだ。部室の中は若者独特の汗くささがたちこめていた。
作品を試写してすぐ弱点を指適すると、高校生らは一生懸命メモをとった。その一途さがえらく心に残った。
終わって学校を去るとき、夕方なのに校舎のあちこちに灯りがついてサークルの活動が深夜まで続きそうな気配に私は懐かしさを思い、羨ましさがこみあげた。
文化祭のシーズンにはよく徹夜したものだ。遅くまで教室に残って大道具を作ったりガリ版を切ったりしたものだ。異性と大っぴらで夜更かしできることが楽しかったものだ。
その夜遅く、広島の学校を陣中見舞いすると、高校生らはまだ作業を続けていた。疲れきった顔で相談しあっていた。何日も作業が続いているのだろう。だが声をかけると、若者らしく全員はしゃいだ。
最近の若者と違う、少し古い感じの青春を見た気がした。久しぶりに「舟木一夫」の世界を味わった。
昭和23年生まれの私の同級生らは来年大量に退職をむかえる。この猪とネズミの年令はこの35年間仕事オンリーで走ってきた。結婚もした、転勤もした、海外へも行った、昇進もした、…。けれど、あの文化祭の苦労する喜びは30年余りついぞなかった。というか忘れていた。
どうだろう。大人たちの文化祭というのが出来ないものだろうか。私らが青春だった68年から75年の時代を再び味わうような。
それは通り一遍の懐メロ物語ではないはずだ。
オリンピック以降テレビが盛んになり、私たちは「テレビっ子」と呼ばれた。少年週刊誌に夢中になり、あしたのジョーに心躍らせた。大学がバリケードで封鎖され成田で闘争が続いた。大阪万博で未来を構想した、等。
そんな時代を蘇らせつつ、今の楽しさと結びつくような晴れがましい時間を手に出来ないものだろうか。
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