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定年再出発  


懐かしい空
by yamato-y
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天文図の発見

キトラ発掘顛末4

1998年3月、大和路はまだ寒さが残っていた。
4日に奈良県明日香村の現地に入ったとき、これほど劇的な発見につながるとは思わなかった。7世紀末から8世紀初めに作られたと言われるキトラ古墳。この古墳を再調査する調査団というのが明日香村によって結成され、私たちはそれに技術協力するという形で参加することになった。前々日に現地に入り超小型カメラの組み立て点検を終えて、本番に備えた。

3月5日、本番当日。雲が重く垂れ込め、今にも雨が降り出しそうな空模様だった。阿部山の現地には他の報道陣もおおぜい詰め掛けていた。
 古墳探査ポイントは側道より3メートルほどあがった所で、防水テントで覆われている。
探査用カメラを組み立て、8時過ぎ穴をあける。

 第1回調査のときに参加した技師金井清昌が穿孔にあたる。
内部が固い版築に覆われているためドリルがなかなか入らない。穴をあけるのに2時間かかる。
11時過ぎ、貫通し小さなどよめきが起こる。すぐに内部の温度、湿度、炭酸ガスの濃度などが測られる。雨は本降りとなった。
昼過ぎ、いよいよ探査孔にカメラを通す。総勢5名が慎重に操作する。全体を統括するのは、猪熊兼勝調査団団長。その指示に従ってカメラを操作する金井清昌の額に汗がうっすらと浮かんでいる。

昭和58年の調査時、金井は43歳だった。世紀の大発見となるはずだったが無念なことにカメラが故障した。撮影不能になる直前に金井は古墳の天井に光るものがチラッと見えたと記憶している。他は誰も見ていないので当時は金井の推測は一笑に付された。だが、金井はきっとこの古墳は想像以上に立派な構造と体裁をもっているにちがいないと考えるにいたった。
いつか古墳にカメラをきちんと挿入して、自分の目撃したことが本当だったということを立証したいと金井はねらっていた。調査再開に執念を20年にわたって燃やしてきたのだ。

 超小型カメラはアームを2メートルに伸ばして、石室内に入る。床には土砂が散乱している様子がモニター画面に浮かび上がる。カメラを持ち上げると正面には亀つまり「玄武」がいた。ここまでは前回も撮影したのだ。今回も同じポイントでカメラに異変が起きた。カメラケーブルが断線したらしい。映像がみるみる白く溶けていった。関係者は全員息をのむ。沈うつな空気が流れる。すぐにカメラは回復するかと期待したが見込みはたたないと技術スタッフからのメッセージが私の元へ届く。私はこの日の調査は打ち切ることにした。

その夜の技術スタッフの努力は涙ぐましいものがあった。ちゃんとした修理道具もないなかピンセットだけで13本の極細の電線を繋いでゆく。配線の設計図は東京にしかなく、それが保管されている技術研究所にケイタイ電話で問い合わせながらの作業となった。アルミをセロテープで応急処置した電線が上がったのは午後7時を回っていた。外は激しい風雨になっていた。

翌6日雨はすっかりあがった。森の中から鶯が聞こえてくる。
作業を開始するとすぐ玄武にたどりつく。石室全体をまず眺めた。左右に模様のようなものがある。レンズをセミ望遠にしてカメラを振ると、白い虎と青い龍をとらえた。新発見だ。思わず手に力が入る。でも、これは序の口だった。

天井にカメラが向けられると、そこには華麗な星座が広がった。「星宿」である。中国にもない、世界最古の天文図が現われたのだ。この星座は後の調査によると、大変な情報を記録していることになる。その時点ではまだ私たちは知らないが、新しい像を捕まえたことに興奮していた。翌日の新聞は1面トップでこの天文図発見のニュースを報じた。

技師の金井はこの発見から3ヵ月後定年をむかえた。金井にとってはこの発見は技術屋人生の総仕上げとなったのだ。
 定年後、金井は後輩が営んでいる制作会社に身を寄せて、新規事業などを手がけていたが3年前、脳出血で倒れた。回復したが、麻痺は残った。今もリハビリを続けている。それでも去年私が定年を迎えたとき、彼は祝福の電話をもくれた。不自由な口で、「無事卒業を迎えることができてよかったね」と言ってくれた。
 そして、昨年末、最初のキトラ調査を行ったときの堀田チーフディレクターが急死するということがおきた。その訃報を私は金井に伝えたところ、彼は回りをはばかることなく「ホッチャンが死んだ」と大声を上げて泣いた。30年前、手作りでキトラ古墳調査を二人でやったときの苦労がよみがえったのだ。私は慰める言葉をもたなかった。

近々、彼が病を養う高崎へ、見舞いに行こうと思っている。


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天文図の発見_c0048132_2341880.jpg

by yamato-y | 2006-05-29 23:24 | シリーズ作品回顧 | Comments(0)
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