幽草
深く茂った草を幽草と言う。王安石の「緑陰幽草 花時に勝れり」という詩の中に出てくる。
王安石の詩は、草木が日一日と緑濃くなってゆく様子を、花が咲くときよりもいいという意味だ。
まことに、若葉青葉の美しさはえも言えない。雨季がやって来る直前に、植物は一度身を震わせるように美しくなる。「緑の地球」だ。
ツヴァイク道も今あざやかな緑一色だ。
黝(ゆう)という字は青みのある黒をさす。黝(くろ)ずむ、というような活用がある。
これも、この緑の季節にふさわしい言葉だ。樹木が深く生い茂り暗い様を表すのだ。
北原白秋の歌
か黝(ぐろ)葉にしづみて匂ふ夏霞 若かる我は見つつ観ざりき
晩年の歌だ。青葉でむせかえるような森がうっすらとかすんでいる。若い頃はそれを見ていても観てはいなかったのだ、・・・。
この歌の頃は、白秋は腎臓を患い失明同然の状態であった。その彼が青葉を観ている。
今、この年になってみると、「若かる我は見つつ観ざりき」のことがどれほど多かったかと嘆くほかない。白秋はこの歌を詠んで2年後に他界する。
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