ワタナベ支配人
私と衛星映画劇場の渡辺俊雄支配人は机を並べている。
本職はアナウンサーだが、今や映画番組の第一人者だ。映画にまつわる種々のエピソードをこっそり教えてくれる。とても有難い。
近年、「男はつらいよ」をずっと手がけていて、その知識は端倪すべからざるものとなった。
さきほども、自分のロッカーからファイルを取り出し、「男―」で撒かれたチラシ一覧を見せてくれた。ポスターはともかく、劇場で配られるチラシをすべて持っている人はそういないだろう。
昨年は成瀬巳喜男の話題で二人は盛り上がった。そして、彼は、高峰秀子が久しぶりに発言した内容を教えてくれたりもした。
先日放送した「いちご白書」を話題にしたところ、当時のパンフレットを所蔵しているとワタナベ支配人は得意げに語った。じゃ見せてよとお願いすると、本日持って来てくれた。
表紙の写真が少し褪せて、年代を感じさせる。奥付を見ると昭和45年9月とある。ワタナベ支配人はまだ東京の学生だった。
私は仕事に就いた年だ。大阪にいた。大阪万博がブームとなっていた。その秋に三島が自決する。時代ががらがらと動いていた。「いちご白書」の劇中で歌われた「サークルゲーム」の和訳が、このパンフレットに記載されていた。
どうせこの世はただの夢 昨日子供が遊び歩いて
トンボをとってびんにつめた
空の雷におののいて 落ちる星に涙を流した
そして春から冬が十回めぐって 凍った流れを十回渡った
「大きくなったら」と思いつめ いつかは夢が叶うだろうと
四季めぐる ぐるぐると ペンキの木馬の上がり下がり
「時」という回転木馬 わたしたちはそのとりこ
戻れないあの日をただ振り返るだけ ただぐるぐると回りつづける
遠く去った十六回の春と夏 めまぐるしいこの世の動き
「もうじきだ がんばれ」と 足を土につけて流れにさからう
明日を夢見る少年も 今はもうはたち
その夢もいくらか色があせたけれど ことによれば
新しい夢も豊かな夢も すべて流れがとまるまで
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