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風の丘を越えて

風の丘を越えて_c0048132_1940590.jpg
風の丘を越えて

土曜日の朝7時、青山島港の宿屋にいた。
雨音に気づいて目が覚めた。優しい雨だ。島の朝は静かだ。どこかで犬が吠えている。ベッドから降り立つとオンドルの床が暖かい。座り込んで長かった昨日のことを思い出してみる。・・・

夜通し車を走らせ、韓国西部の南端ワンドに着いたのは金曜日午前9時過ぎ。
朝食をとろうと港の前の食堂に入った。同行のホンさんに注文をとりに来ないがいいのかと聞くと、韓国では朝は定食になっているから店の人は分かっていますとの答え。合理的だ。8品ほどのおかず、焼き魚、ごはん、味噌汁が運ばれてきた。どれもおいしいが、みなでひとつの魚を突っついて食べるのはどうも抵抗がある。

港の待合室には「春のワルツ」(以下ワルツ)のポスター、垂れ幕があちこちに見られる。ドラマの舞台として地元は相当力を入れている様子がわかる。めったに現場を見せないユンチームだが、今回特別にドラマの収録の模様を公開すると聞いて、私はソウルから深夜7時間車を飛ばしてこの西端の町まで来たのだ。

10時15分、青山島行きのフェリーが出発。このあたりは多島海の地形で韓国の国立公園に選ばれているほどの景勝だ。島影がいくつも見えて美しい。フェリーの客室はオンドルなので気持ちよく、ごろ寝をした。船内は韓国のおばちゃんたちの元気のいい声(私には喧嘩しているように聞こえる)が飛び交う。

 先々週の撮影中、「春のワルツ」主役のソと副主役のダニエルと喧嘩をする場面で事故がおきた。ダニエルの放ったパンチがソの頬骨を骨折させたのだ。その怪我の治療と回復のために1週間放送が飛んだ。怪我は重傷だったが応急でしのいでドラマが終わるまでそれでゆくことになっていて、ドラマ終了後手術をすることになっている。
1週分放送が跳んだことで、制作サイドはマスコミへのサービスとして、ドラマの撮影風景を公開することにした。土曜日にソウルから週刊誌、新聞、雑誌の記者が大挙して押しかける。私のその一日前に単独で入ったのだ。

 一昨年、ナミソムで「もっと知りたい冬のソナタ」という特番を作った。そのときに出演してもらった撮影監督がフェリーの船室に現れた。久しぶりの出会いで互いに喜んだ。彼に現在の制作状況について話を聞いた。
彼によれば事故があったもののドラマ制作の進行は順調だという。今回のワルツのスケジュールはソナタに比べてまだましというのだ。あの時の強行軍はもっと大変だったよと、いかつい顔を崩す。前回の「冬のソナタ」より追い詰められてはいないがそれでも今回のワルツも予定が押しぎみだったので、役者の怪我で間が空いてスタッフはほっとしていると、本音も語った。
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 船は11時10分、島に到着。10台ほどの車両がいっせいにフェリーから吐き出される。私の車は港から急な坂を一気に駆け上る。峠で左の尾根道に入る。あたり一面麦畑と菜の花。畑は防風のための石垣で囲まれている。その石垣の道の三叉路まで来るとどこかで見た風景となる。イム・ギョンタクの「風の丘を越えて」の最終シーンに出て来た道だということを悟った。旅芸人が別れて放浪の旅に出るあの道だ。なるほど画になる風景だ。
そこから50メートルほど道を行くとプロバンス風の3階建ての白と黄色のコテージが現れる。これが今回のドラマのために作られた「愛の家」だ。いかにもユン好みのかわいい家だ。

「愛の家」の前に青い麦畑がある。まだ熟れるまで間がある麦の穂だ。島特有の強い西風が吹き抜けるとき、麦畑に風の波が次々に立つ。麦の穂がいっせいに揺れるのだ。さやさやであったり、ゆらゆらであったり、ざわざわであったり、さまざまな風の表情が生まれる。高台に立ってその様子を初めて見たとき私は息をのんでしまった。
強い海からの風はもうひとつの花畑にも吹く。盛りの菜の花をゆらすのだ。一面の黄色が揺れる様はまるでメルヘンだ。その菜の花と麦畑に取り囲まれて愛の家があるのだ。

麦畑で昼過ぎから撮影が始まった。2台のカメラと二人の撮影監督、撮影助手、音声が2クルー、助監督、主役の二人、付き人たち、マネージャー、メイク、クレーンカメラ操作、運転手、スチルカメラマン、演出助手、見物人規制など30人ほどのスタッフが参加している。
畑のあちこちに移動して撮影するのだが、台本で決められたとおりに撮るわけではない。流れを感じながら、このほうがいい画になりそうだとユン監督が閃くとすぐ変更実施される。そばで見ていると信じられないほどスタッフがよく動き素早い。麦畑の一辺を撮っていたかと思うと、わずか10分後には対辺に移動してそこでも撮る、という動作がえんえんと続く。
とにかく皆よく働く。例えばクレーンはトラックに積んで運ぶほど重いまのだがその作業の手際のいいこと。ポイントで車から機材を下ろし組み立てる。最後に錘を挿入したところでカメラマンがクレーンにカメラを取り付けてカメラマン席に座る。そこで、クレーン担当者はカメラマンの指示でクレーンのアームをあれこれ動かすのだ。運んで組み立てるだけでも大変なのにカメラワークまでクレーンスタッフはやってのける。一度の作業だけでもくたびれると思われることを2時間ずっと同じ3人でやっている。1つの場所での所要時間およそ5分。日本の常識では信じられない。
ユンさんはモニター画面を見て画を決め役者にいちいち芝居をつける。撮影が終わるとすぐ次の撮影のポイントを指示し、スタッフはその用意を始める。30人が不平もいわずてきぱきと自分の与えられた任務をこなす。合間に、「大変ですね」と役者にみずを向けても、ハードだが監督の指示にできるかぎり応えたいと健気なことを言うのだ。あらためてユン監督のカリスマ性を見た気がした。

撮影場所の風の丘は美しい。海を見下ろす丘の頂にはあずまやがある。そこからはたくさんの島影と美しい浜が一望できる。反対側を向くと山に囲まれた可愛い集落がある。何と家の屋根が赤と青で統一されていてまるで御伽噺の世界だ。
私は現場を離れてその村の方へ下りていった。昼間で野良に出ているのだろうか、人がいる気配がない。足音に驚く犬がほえている。坂に寄せ合うようにして並ぶ家々が懐かしい思いをかきたてた。

このあたりにはかつて百済の国があった。滅んだときにずいぶんたくさんの人が日本へ流れてきたと聞いた。私が懐かしく思うのもそういうことと関係があるのだろうか。村の外れに草原があった。私は寝転んだ。目の前で小さな花が風に揺れていた。
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――今回の旅はこれまでになくきつかった。私にはこたえた。特に深夜の移動は精神的に追い詰められた。狭い車内で思うとおりに動けない、自分で空調や設備の調整も叶わない、なによりトイレタイムを自分で設定できないことは、拷問を受けているようだった。
若い頃はどれほど長い旅をしても感じなかった疲れが私を襲う。老化を目の前に突きつけられた気がする。苦しい。年をとるとはこういう悲惨な状況が待ち受けているということなのか。
丘の上に吹く風をうけながら私は暗い気持ちでぺんぺん草をじっと見つめた。

そして、今金浦を飛び立って羽田へ向かう機中にいる。苦しい旅が終わりに近づいたのだ。ヘッドフォンをあてると、井上陽水が「新しい恋をしよう」と歌っている。彼は私と同年のはずだが、まだ恋の歌を歌っている。ノーテンキなのか、見ないふりをしているのか分からないが、60歳に近づいた団塊の世代は新しい恋などに関心があるとは思えない。無理をして、商売のために歌っているのかと井上に聞いてみたいほど、私の心は意地悪になっている。

心はまた風の丘にもどってゆく。青山島の丘から海を見下ろすと浜辺の松林がシルエットになって美しかった。その向こうに広がる海は波光が煌めいていた。みな精気に満ちているはずなのに、私はまるで影の国へ行ったように感じられた。すべて光に満ちているのに、私には影のようにしか見えない。
ああ、少年の日からもう半世紀も生きてしまったのだ。これから先、それほど愉快なことが待っているとは思えない。体は動かず心は躍らず、ただ真言をつぶやく。
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by yamato-y | 2006-04-23 19:41 | 魂のこと | Comments(0)
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