怪獣の登場
先日の大伴昌司の会で、「宝石」の元編集長大坪直行氏から耳寄りな話を聞いた。大伴が怪獣に興味をもったのは「ゴジラ」の原作者香山滋をインタビューしてからだというのだ。それまで怪獣という存在にそれほど関心をもっていなかったが、香山の話を聞くにつれ大伴の目がらんらんと輝いていったのだ。香山の影響で大伴が怪獣開眼したとすれば、怪獣博士大伴昌司の原点はゴジラか――。
昭和29年11月3日文化の日、東宝映画「ゴジラ」は封切られ大評判となる。
その年の3月1日、遥か南方のビキニ環礁で水爆実験がアメリカによって行われる。日本の漁船第5福竜丸は被災し23名の乗組員は被曝する。日本人の脳裏にその9年前に起きた広島、長崎の悪夢がよみがえった。マグロは核汚染されたとして不買が起こり、雨が降るとストロンチウム90が含まれていて、直に浴びると頭の毛が抜けるという流言が飛び交う。当時6歳だった私もこのときのことはよく覚えている。梅雨に入って長雨が続いたとき、母はうるさいほど帽子をかぶれカッパを着ろと小言をいった。
そして9月3日、乗組員の久保山愛吉さんが放射能障害によって亡くなる。ついに犠牲者がでた。世論は硬化した。原水爆禁止運動が高まってゆく。草の根からついに原水協にまで発展していくことになるのだ。
ゴジラは、水爆実験の影響で南海の海底深くに潜んでいたジュラ紀の恐竜が突然に変異してよみがえり、日本を襲うという物語として構築される。このおおよそのストーリーラインは田中友幸プロデューサーが構想した。彼の中には少年の頃に見たアメリカ映画「キングコング」があったのだ。このアイディアを彼のお気に入りの小説家香山滋に伝えて、原作を書いてもらうことにした。
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ポスターのキャッチフレーズがすごい。水爆大怪獣映画と銘打っている。「放射能を吐く大怪獣は日本全土を恐怖のどん底に叩き込んだ」