イラストレーター、島本美知子さん
一昨日、パリから小包が届いた。開けてみると15分ほどの長さのDVDがあった。
「Le temps qui passé」、時は過ぎるというタイトルの短編アニメーションが収録されていた。作者は、パリに住んでいるイラストレーターの島本美知子さんだ。
島本さんとの付き合いはかれこれ11年前になるだろうか。伊丹十三監督「静かな生活」の制作のときだ。彼女はその映画のポスターを描いた。パステル風のとても魅力的な画を描いた。その頃もパリにいたと思うが、伊丹さんが彼女を発見して起用したのだ。
どういう経緯か失念したが、大江さんの周辺の人からの紹介で、私は島本さんと会い、彼女を主人公としてドキュメンタリーの制作を計画したことがあった。
残念ながら企画は実現しなかったが、彼女のインディペンデントな性格、きりりとした人生に感銘をうけたことを覚えている。
その島本さんが自費で5年かけてアニメを作ったのだ。プロデューサーも協賛も配給会社もなく自力でやったと、同封の手紙に書かれてあった。
物語は、おじいさん鳥が苦難を越えて輪廻転生していくものだ。
冒頭のナレーション:「日本の神道や仏教の基本は生命崇拝であり、すべての生命は平等であり、死は再生の繰り返しと考えています。
あの世とこの世を循環しつつ、永遠に共存しています。これは輪廻転生を全うした、おじいさん鳥のおはなしです。」
緑を基調とした画のトーンは地味で静かでなかなかいい。ただ、主人公は鳥と自然で(むろん、擬人化されてはいるが)全体にスタティックな感じが否めない。かつこういう思想が外国人とくにフランス人に伝わるのだろうか。
島本さんは今年の広島国際アニメフェスティバルに出品するそうだ。私に意見を聞きたいとこの作品を送ってきたわけだが、実際に見て、なんとも判断しがたい。
私としては、人間とくに少年を主人公にしたファンタジーが見たい気がしたのだが。
ただ、突然のこの小包はうれしかった。仕事を一度して終わりでなく、長く共同で表現していきませんかと、呼びかけられた気がしたのだ。
さて、広島フェスの知人に連絡をとって彼女の作品を売り込んでおこうかな。
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