ジャーナリストになる君へ
4月の新しい光のなかで、君は期待に胸をふくらませているだろう。仕事に就くという不安もあるだろう。
怖れるな。新しく漕ぎ出してゆく海は、これまで君が戯れていた水際と同じ水だ。深さが増し広さが広がるだけのことだ。途轍もない場処へ飛び出すのではない。
ジャーナリストとは社会を認識し、それを表現して再び社会に送り返す仕事。世の中の動きや流れに目をみはっていなくてはならない。
でも眼鏡をかけて見るな。しっかり肉眼で見届けろ。眼鏡は、かける眼鏡によってちがって見えるぞ。どうしてもかけなくてはならないなら、いろいろ眼鏡をかけて見ろ。
モノサシも一つだけにするな。いつのまにか時代がもつイデオロギーに毒されていることがあるぞ。モノサシを使ったら、真逆のモノサシで次にはかってみろ。
声の大きいのにだまされるな。威勢のいいのに乗せられるな。
声の大きい方には耳は小さく、ぼそぼそ呟く声には耳をダンボに。
盲従しろとは言わないが、仕事を覚える間はとやかく言うな。素直にメソッドを覚えろ。
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