財布を忘れた
朝の光を浴びて気持ちよく山を下った。途中鶯の声を聞いた。かなりきちんと、ホーホケキョと聞こえた。昨年より早い。すかんぽも芽を出してきた。

桜は八分。ちらほら花片が落ちてくる。気持ちよく駅まで歩いて改札まで来て財布を家に忘れてきたことに気がついた。定期券はそれにはさんである。家には誰もいないから電話をして持ってきてもらうこともできない。取りに帰るとすれば往復20分はかかるし、坂を登るのも億劫だ。仕方がない。
現金で切符を買うことにした。東京往復2200円。(小梅大夫をまねれば。チックショー)
ため息をつく。だが誰にも文句はいえない。(みんなオイラが悪いのさ)
清清しい気持ちもこの出来事で吹っ飛んだ。おまけに車内はいつもより混んでいて立つ羽目になる。さがみ野まで出て、丹沢連峰を見はるかしてやや気持ちが落ち着いた。
手前に大山、奥に丹沢が配置されている。標高は丹沢のほうが高いのだが、さがみ野から見上げると、手前の大山のほうが高く見える。大山は独立峰なので形もよい。江戸時代以来大山信仰の対象になるのも納得できる。それに比べると丹沢は尾根が長く(ここというピークがない)姿はぼんやりしている。
丹沢はさえない兄貴で大山は聡い弟に見える。
ところが冬、降雪期になると様相が変わる。大山に雪がないときでも丹沢にはあることがある。冠雪した丹沢はきりりとしていつもの愚兄ではない。それに比べいつも饒舌な大山はうなだれている。
教訓めいた話にはしたくないが、どこか人生を思わせる。普段ぱっとしない存在でも逆境にいたって真価が発揮される、ということ。
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