チープな旅のささやかなぜいたく
私の旅はいつも安上がりだ。旅に出てその町の有名な料理屋へ入るわけでもなく観光地へ足を伸ばすわけではない。ただ、ぷらぷら歩き回るだけだ。古書店と古道具屋へはつい足が向く。そこで安くて自分なりに理由をつけられるものを求めて帰るのだ。
宿はビジネスホテル。妙な晩御飯はないほうがいい。魚が好きだから、港町であれば繁華街のいっぱい飲み屋であじやいわしを煮たものをさかなに土地の酒を飲む。
忘れないうちに書いておく。ホテルはぜったい東横インには泊まらない。あの社長のずるがしこそうな顔を思いうかべるだけでも不快だ。あのチェーンで安上がりに使用されている女性従業員がかわいそうだとは思うが。
今夜も広島の町を歩く。春になり休みとなり、週末だからか、街角には若い男女の姿が目に付く。アーケードの町を靴を鳴らして歩く。とおりの店も東京の支店のようなものが多いが、それでも地元の店もある。
元来、私は知らない町へふらりと出かけるという旅は好きでない。昔住んだとか仕事をしたことがあるとか、何かしら因縁がないところへ行っても心弾まない。ゆかりの町であれば、昔こんなことがあったあんなことをしたと、思い出がよみがえってくる。それを味わうのが好きなのだ。はっきり言って、後ろ向きの旅が好きだ。
どこへ行ってもすぐ探すのが、イカ。水イカ、あおりイカ、白イカ、するめイカ。イカとつくものは何でも好きだ。金沢でも敦賀でも長崎でも大磯でも、イカが入っていると聞けばすぐ求める。
ところが、なかなか美味いイカにはあたらない。そこそこ味はいいが、4切れ5切れ食べると、期待外れでがっかりすることが多い。意外においしいと思ったのが大阪梅田の大衆すし店で食べたもの。期待はずれだったのは函館のイカ。
ここ広島では、珍味のノレソレが今旬だ。ノレソレとは穴子の稚魚。透明ではかなげで春先の味だ。昨夜、卵とじにしてもらって食す。
広島や 小鰯さがす 流川
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