小学生時代の思い出
先日、汽車のデッキのアクシデントについて考えていたら、また別の事件を思い出した。
秋になると、祭にあわせてサーカスが来たものだ。気比神宮の大祭は毎年9月初めに行われ15日間続く。日本一長い祭だ。やって来るのは敦賀を本拠地とする柴田サーカスが多かったが小学校高学年になると矢野サーカスに変わっていった。日本全土の祭りを巡回して来るのだ。9月になると待ち遠しかった。
その年は予定になってもなかなか来なかった。小学校の休み時間に友達となかなかサーカスが来ないなあと噂をしていたら、一人が事故があったみたいだぞと教えてくれた。
サーカスは福井から巡回して来るのだが、途中北陸トンネルでキリンが首を出して骨が折れたという。そのため、敦賀へ来るのが4,5日遅れているそうだ。それは大変だなあと子供心に思った。信じて疑わない。
数日後、サーカスは来た。その年私はテントの中に入らなかった。不潔だから綿菓子を買って中で食べてはいけないと親に注意されたのだ。
サーカスを見てきた友達から報告を受けた。象やライオンはいてきちんと芸もしたが、キリンは死んで剥製で飾ってあったと言う。首のところに包帯が巻いてあって痛々しく見えたと友達は悲しそうに言った。
私は、遠い南の国から連れて来られてトンネルの天井に頭をぶつけて首の骨を折って死ぬなんて、キリンが可愛そうだと思った。剥製のキリンのところへ行って、インド林檎でもお供えしてあげないといけない、と子供心に思った。
ずっとこの話を信じていたが、あるとき剥製作りのテレビを見たら、小さな鳥でも1ヶ月以上かかることを知って、キリンがわずか2,3日で剥製になるわけがないということを悟ったのである。間が抜けた話だ。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング