母子鳥
今朝は冷え込んでいる。灰色の空の下、山鳥が騒いでいた。
大磯駅のはずれに公衆トイレがある。毎朝、男子トイレの外で待つ女性がいる。
息子が入っていて外から動静を見守っているのだ。息子は16か17か。おそらく自閉の障碍をもっていると思われる。時折、トイレの中から奇声があがる。母はじれて「早くしなさいよ。もうすぐお迎えが来るのだから」と行動を促す。子は意に介さない。意味不明の言葉を発しながら、悠々とズボンを直し手を洗いハンカチを取り出して拭く。この一連の動作は人のゆうに3倍はかかる。
初めてこの光景を見たとき、中年女性の痴女かと思った。男子トイレの前に立って奥をじっと見つめていたのだから。左手で杖をついている。彼女自身病の後遺症をかかえていると思われる。老けてみえるがどうも私と同じ団塊世代ではなかろうか。障害児を育てる苦労ゆえの早い老化だろうか。
この母子は将来どのように生きていくのだろう。母が亡くなり子だけが残されたとき、その子はどうなるのか。声を荒げて躾をする母の姿を見ていると、胸がしめつけられる。少しでも自立させたいと、つい叱責口調になるのかもしれない。
私が側を通るとき、トイレ前の母は恥ずかしそうに目を伏せる。
春の磯 子呼び母さがす 千鳥かな
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