映画「クラッシュ」

今話題の映画「クラッシュ」を見てきた。話題の映画だが単館上映で座席指定なので入館できるか心配したが、雨のせいか思ったより空いていた。でも席の7割は埋まっていた。人気は高いようだ。同僚の話では、『ホテル・ルワンダ』より数段いいということで期待した。
結果はたいしたことがなかった。星、3つ半。
内容は群像劇だ。しかも「因果は巡るおぐるまの」と言った連鎖劇だ。話があちこちありすぎて、映画を楽しむというところから遠い映画だった。まあ登場人物が多いわりにはよく個性が描出されているとは思うが。
監督としてミリオンダラーベイビーの脚本家が初のメガホンをとっている。これまで各賞を総なめしたと聞くが、それほどでもないというのが私の感想だ。
ただ、アメリカの多民族社会は外から見るほど楽観できるものではないという現実はよく分かった。心に残る挿話は貧しい白人の警官の境遇だ。人種差別をする警官自身、私生活では不遇をかこっていてやりきれなさが残る。その警官は老いた父と暮らしている。父は介護が必要な身体で排尿排泄がうまくできず苦しんでいる。妻にも捨てられ息子と二人のくらし。父の苛立ちはまざまざと実感した。わが身の行方を見た思いがしたのだ。
だが映画は、その彼を救済している。このことで見る側も救われる思いがある。
逆に、この警官の相棒で良心的な若い警官は、そのリベラル行動にもかかわらず理不尽な運命に突入してゆく。このくだりには作者の冷徹な作家魂を感じた。
この映画を日比谷のシネマシャンテで見た。映画は7時前に終わった。映画がはねた後、ひとりで有楽町のガード下の焼き鳥屋でいっぱいやった。黒ホッピ-を焼酎でわりながら、ひとり反省会をやったが、やはりこの映画は面白いとはいえないと、結論をつけた。
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