息子をなくした父
謎野さんのブログ記事で知った、ダルデンヌ兄弟の映画「息子のまなざし」。渋谷のTSUTAYAへ行ったらいつもレンタル中で人気が高いことを知った。ようやく先日手に入れて見たが噂に違わず素晴らしい作品だった。
あらすじは、以前このブログで書いたことと重複するが簡単に記す。この映画は息子を殺された父の話だ。
木工場で更正する非行少年たちに大工仕事を教える主人公のもとに、新しい生徒がやってくることになり彼の心は波立つ。その少年こそ主人公の息子を殺している。偶然、彼の元へ配属されることになったのだ。少年は何も知らず彼に近づくが、彼の心は複雑に揺れる。… 主人公を演じる俳優の起伏に富んだ演技、あからさまにイノセントな少年の存在に劇映画と分かっていても、胸が苦しくなるのを覚えた。
愛知県に住む大河内祥晴さん(59歳)も10年前イジメが原因の自殺で息子を失っている。追い詰められた中学生の息子清輝君は自宅の裏庭で首をくくった。13歳だった。
数日後、息子の引出しから発見された遺書で原因がわかった。受けたいじめの内容が克明に記されていた。百万円以上の金を脅し盗られていたのである。
父は苦悩する。なぜ息子は死んだのか。
なぜいじめを見抜けなかったか、なぜ打ち明けてくれなかったか。・・・
ちょうどイジメが社会問題となりはじめた頃でマスコミでもこの事件は大きく取り上げられた。そして大河内さんはあえて息子の遺書を全文公開したのだ。イジメの悲惨と清輝君の心境を知ってもらいたかったこともある。全国でイジメで苦しんでいるこどもたちに、あなたの心の中をきかせてほしいと呼びかけたかったこともある。
反響は大きかった。全国でイジメを受けて苦しむ子供たちから1000通に登る手紙が大河内さんのもとに届いた。その一つ一つと向き合いながら大河内さんはこの11年間生きてきた。
事件当時40代の働き盛りだった大河内さんもまもなく定年をむかえようとしている。この間、大河内さんの心中はいかばかりだったか――
2月5日(日)、教育テレビ「心の時代」で「息子をなくした父として」と題されて大河内さんが紹介される。聞き手は作家の重松清さん。中学生の娘をもつ重松清さんは真摯に口ごもりながら大河内さんの心中を問うていく。それに対して、平易だが本当に重い言葉で、大河内さんもまた誠実に答えてゆく。その言葉に耳を傾けてほしい。
実は、この番組は先月末放送されて私は見て感銘した。本放送は早朝午前5時ということで見る人も少なかっただろう。再放送は見やすい時間なのでご覧になることをすすめたい。
放送:教育テレビ「こころの時代-息子をなくした父として」 昼2時から
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