定年再出発 |
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アウシュビッツで生まれた問い②
ビルケナウ収容所を見学した後、学生らはびっくりするほど何も感じない自分を発見する。ナチが計画した通り、ここにはまったく何もなかったというふうに消し去られたわけではない。部分であれ遺構はあり遺品もある。だが、訪れたときアウシュビッツは一面白銀の世界だった。冬の極寒を経験してアウシュビッツの凄まじさを知ろうと計画したことが裏目になる。おぞましいと思っていたものが、美しいのだ。 「ここは現世ではないね」とアヤカさんは口にすると、男子学生が「いや、現世だよ」と反論する。反論しながら彼も居心地が悪い。 アヤカさんも自分に言い聞かせる。《そう、現世なのです。あの狂気もこの穏やかさも。 信じられないほどの惨劇は、現実にこの穏やかな世界で起こり、狂って死にそうなほ どの狂気は、現実にこの日常で確実に「生き」られていたのです。S・Sも、「ユダヤ人」も、殺しながら、殺されながら、確かにそこで生きていたのです。それがすでに正気なのか狂気なのか私には分かりません。》 偶然だろうか。今日、アヤカさんたちのグループとは別の学生セキ君からメールが届いた。彼は休学してひとりで世界を見てきたと報告する。その中にやはりビルケナウで戸惑いを感じていた。彼が訪れたのは雪のない緑の季節だったようだ。 《アウシュビッツとビルケナウも訪れたのですが、のどかな緑と補修され綺麗な建物か らは直接にはおぞましさは感じられず、当時の悲惨さも想像で補うしかなく、まるで 映画のセットの様だと感じました。かつてビルケナウは湿地帯で衛生状態も最悪だったと聞きますが、現在の綺麗な芝生からはそれは想像できません。 あれほどの悲劇があったのに、その痕跡はどんどん消えてしまうのか、と。》 彼はここ以外にもワルシャワ、ゴラン、ベイルート、など紛争や殺戮のあった場所をめぐっている。そして、歴史を見るという行為自体、記憶する事は、それがたとえどんな大きな出来事だとしても、かなり労力を伴う挑戦だと感じるのだ。 《ゴラン高原も今はもうのどかな緑が広がり、そんな中、瓦礫が草っ原に飲み込まれつ つ点在している。あと30年、現在のアウシュビッツと同じだけの時間が流れたら、そこには殆ど痕跡は残っていないかもしれない。どんな出来事だろうと、放っておけば完全に消え去ってしまう。どんな悲劇でさえ、語る事と、記録する事。それでしか残せない。そしてその行為は非常に難しい。》 唐突だがヒロシマについて考えたい。世界中でよく知られた日本の都市の名は、東京についで広島だ。被爆の聖地として訪れる外国人は街があまりにきれいなので驚く。 1994年夏,大江健三郎は原爆資料館へ長男の光を伴ってゆく。大江は長く光を連れてゆくことに躊躇いがあった。知的障害をもち、死に対して人一倍敏感な光をそこへ連れ出すことは酷なことであり、無用な混乱を与えるだけだと考えていた。だが、その光も33歳となり作曲家としても独り立ちするようになった。音楽という、彼の「言葉」ももてるようになった。 今なら、光はヒロシマのことを受け止めることができるだろうと大江は考えた。しかしまったくの準備なしで資料館を訪れたわけではない。東京の自宅で大江は数回にわたり光にヒロシマで何が起きたかをレクチャーした。 そのうえでの訪問だったが、やはり光は資料館に入ることを嫌がった。被爆資料が展示されている部屋に入ることを怖がったのだ。おびえる光に「大丈夫だよ。パパもいっしょだよ」と大江は励まして展示室を見て回る。 見終わったあとの光は展示された品々に打ちのめされていた。大江は「どうだった?」という呼びかけにもすぐには答えられないほど、光は衝撃を受けていた。 やがて、たった一言「すべて、だめです(し)た」。この返事については、「ゆるやかな絆」で大江はくわしく書いている。 大江は光にアドバイスする。「見たことは忘れないでしょ」 「忘れないということはとても大事なことなんだよ」と大江は励ます。 この大江の言葉が、今甦ってくる。 「忘れないということはとても大事なことなんだよ」 アヤカさんらも収容所に保管された犠牲者の髪の毛には衝撃を受けるのだが建物場所に違和を感じている。歴史施設として整然と公開されるその建物に違和を感じながら、髪の毛のおぞましさはアヤカさんの内面にざらりと張り付く。張り付いたことは忘れない。 来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
by yamato-y
| 2006-01-30 13:23
| 魂のこと
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