土曜日の朝に
吉野弘さんの詩に漢字喜遊曲というシリーズがある。漢字同士の組み合わせに思わぬ類似性を発見するという詩だ。
例えば―― 往と住
この世を往かねばなりません
この世に住んだものは誰も
そのシリーズの中の名作「静」
青空を仰いでごらん 青が争っている
あのひしめきが 静かさというもの
たしかに青空を見ていると、たくさんの青の断片が集まりひしめきあって、より純粋な青を作り出しているように見える。沈黙のざわめきをたてながら。
詩人とは面白いことを考える人たちだ。篠原資明は、語をさらに分解する「超絶短詩」を編み出した。例えば、「嵐」
あら 詩
(『物騒ぎ』)
詩集『物騒ぎ』にはまだ面白いのがある。「ぴー 夏」(ピーナツ)、「おっと 性」(オットセイ) なるほど短い。この篠原は吉野弘と題して―
「よ 詩の広し」
詩という語は言葉の寺と書く。世間の垢を身につけて色あせた言葉を寺にいったん収容して修業させて新しく出直しさせるから、詩というのかしらむ。
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