冬のソナタ・ザミュージカル
昨夜、札幌で見た舞台でアクシデントが起きた。前日も同じ芝居を見ているので異変にすぐ気付いた。
終幕にちかい場面。サンヒョクがユジンとの恋が壊れると知って自暴自棄になり自殺を図る。
それを止めようとしたチュンサンも巻き添えになってビルの工事現場から転落するというシーンだ。
サンヒョクに続いてチュンサンも飛び降りる、暗転。
次の場面ではチュンサンが意識を失ってベッドで寝ている。目が覚めるとチェリンが介抱している。そこで、明日ユジンはサンヒョクと結婚することになっていることを知らされる。チュンサンは癒えない体で動こうとする。それをチェリンが止めるのだが、チュンサンが本当に痛々しいのだ。演技が真に迫っている。歌う声も弱弱しい。前夜見たダブルキャストのチュンサンはここでも朗々と歌っていたのに、今日の彼は違う芝居をするつもりかな。でもどこかおかしい。
そして、次の結婚式の場面。二人の結婚式に「乱入」したチュンサンが〈遅れてしまったけど今君に言いたいのだ〉という「マイメモリー」を歌う。このミュージカル最大のヤマ場でアリアだ。
歌に説得力がない。感動が予想したほど盛り上がらない。薄いのだ。おかしい。
そして最終場面、ナミソムの並木道。現役の高校生たちが遊んでいて入れ替わるようにして、チュンサンとユジンが登場することになっている。高校生らが上手にはけて下手から二人登場する、のはずなのになかなか現われないのだ。音楽もなく、5秒10秒と不自然な間があく。
慌てるように、上手から高校生二人現われぎこちないつなぎの芝居をして下手に消えると、下手奥からチュンサン、ユジンが現われた。まるでユジンに抱きかかえられるように歩くチュンサン。きっと何かがあったのだ、と確信した。
そこから5分。チュンサンはそれでも歌を歌い、わずかによろけがらも歩ききった。幕が閉まる――。大きな拍手。
カーテンコールで出てきたときも、チュンサンは着替えていなかった。それでも走って現われた。後で聞くととてもそんなことができる状態ではなかったようだ。あばらを強打していたのだ。ひょっとすると骨折もありうるほどの事故だったようだ。詳しくは分らない。韓国人演出家が青ざめた顔でやって来てささやいただけだから。
終演後私は別の会場に移って、劇場関係者やエンターテイメント制作会社の人たちとの懇親会に出席したので、その後のことは分らない。だが、最後まで舞台から降りなかった彼、イム・テキョンに感動した。あらためて舞台というのは生身の人間が一刻一刻を「本番」で演じているということの凄みを知った。
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