ケンサンローの死
春浅きケンサンローの自然死や
大江さん喪失のショックはまだ続いている。それでも発表から3日経て、メディアの論評も出そろい、今の段階での大江評価の目盛りも次第に明らかになってきて、私の周章心を正すような、憤りのようなものが湧いてくる。それが喪失感を忘れさせてくれた。ネットで見る一般の人の声は、若い世代の大江評価は低いし、否定的ですらある。逆に中高年は大江文学がもっていたデモクラットな精神を懐かしんでいる。若い人にこそ、大江作品を読んでもらいたい私としては歯がゆい。
大江さんはロケで半月ほど同行したとき、夕食時にケンサンローと称することがあった。独特のユーモアだ。
大江さんが亡くなったのは悲しいが、事件事故でなく老衰という自然死であったことだけは救いである。