森村誠一の俳句
森村誠一はフシギな小説家だ。「人間の証明」や「悪魔の飽食」といった大ベストセラーを執筆しているが、文壇の表にあまり出てこない。
元ホテルマンというサービス業を経験しているが作風は強面だ。正義感あふれた、感情が剥き出しの小説が多い。
この人がデジカメを手に俳句をひねる「写真俳句」を提唱している。おなじ様なことを私もしているので気になり、その著書を読んだ。
彼の写真俳句上達の秘訣5か条がおもしろい。
1、 句会に出席しない
2、 他の人の句を批評しない
3、 名句をたくさん読む
4、 歳時記に親しむ
5、 俳句は足で作る
1は句会に出て批評されるとせっかくの感性が失われると警告する。離れ狼らしい森村の言い分だ。そして写真について、あくまで俳句との組み合わせるための写真だからシャッターチャンスのようなことにこだわるなと、記している。いちいち納得する。
―森村誠一の推理小説は好きだった。図書館で見つけるとすぐ借りて読む。語り口がいいのだ。おそらく好き嫌いの激しい人だと思われるが、文体が感情剥き出しなのだ。権力者、威張った者、えらそうに自慢する奴に対して、抜き難い「怒り」がいつもある。その語り口と明快な構図で読者を森村ワールドへ引きずり込む。
ただしいつも結末で肩透かしをくう。事件の決着が意外に瑣末なことや偶然事ではかられるのだ。言いかえればご都合主義が多い。そこが不満なのだが、世の中を恨みたくなるときは、彼の本を読むとすかっとする効用はある。
その森村の詠む句は小説と違って穏やかで日常的な作品が多い。
空蝉のくりぬかれたる夢の型
あきらめて楽しくもあり冬木立
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