菩提樹
以前、向田邦子が荒城の月の歌詞を「眠る盃」と勘違いしたことをエッセーに書いていたことを紹介し、私の「故郷の廃家」の錯誤も記した。今夜、風呂に入って鼻歌を歌っているうちに、また勘違い歌があるのを発見。歌は菩提樹。中学1年の音楽の教科書にあった。
いずみにそひてしげる菩提樹 したひゆきてはうましゆめみつ
みきにはえりぬ ゆかしことば
うれしかなしに とひしそのかげ
たしかシューベルトの曲に文語調の歌詞がついていて、なんのことか分からなかった。ただ挿絵があって、池のほとりに木がはえていたのだけが手がかり。
「うましゆめみつ」はうまい夢のようなとろける蜜。「えりぬ」はどんな字を書くか見当もつかない。「ゆかしことば」は愉快な言葉。「とひしそのかげ」は砥石の陰に、と理解した。だがトータルで何のことかさっぱりわからなかった。
今となれば分かる――
泉に沿いて茂る菩提樹 慕いゆきては美し夢満つ
幹には彫りぬ ゆかし言葉
嬉し悲しに 訪いしその影
こうして決着がついたのはいい。まだつかないのがある。「蛍の光」だ。
いつしかとしも すぎのとぉ あけてぞ けさは わかれゆく
すぎのとぉが何度聞いても「杉の戸」なのだ。だから、開けてぞ、今朝は別れ行くとなる。こう思えてならない。
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