話の名手
本日、植木等さんのところへ番組が無事送出できたことの報告と協力いただいたことへのお礼にあがった。同行したのはディレクターのU山君、長男のヒロさん、そしてナレーションを担当した国井雅比古アナウンサーだ。奇しくもU山君をのぞいた3人は同年代。同時代的に植木さんの活躍を知っている団塊世代なのだ。国井さんは小学校の音楽の時間に「スーダラ節」を歌って、それ以来音楽の時間が好きになったと言う経歴をもっている。
植木さんは、今回の番組をとても喜んでくれた。長男のヒロさんにはこれまでずっと一番世話をやかされたが、この番組一本で帳消しさと、最大級の誉め言葉をもらしてくれた。寒い日なので植木さんの体調は大丈夫かなと危ぶんだが、機嫌よく2時間、またいつもの植木節をたっぷり聞かせもらった。
――安田伸の前任者は麻薬中毒だったので、その代わりは超真面目な安田をハナ肇は選んだ。芸大卒で音楽はできるがギャグは言われたことしか出来ない固い人物。そう植木さんは思い出してにっこりした。
「大人の漫画」で安田が遅刻してきたことがあった。後からスタジオに入ってセットの障子をそーっと開けて小声で谷啓に安田は「今日の僕の役は何」って聞いた。すると谷もまた小さな声で「傷痍軍人」と答えた。
早速、安田はスタジオの隅で着替えることにした。それまでやっていたコントが終わりかけた頃、谷は唐突に歌い始めた。♪ここは、お国の何百里、はなれて遠き満州の・・・
次のコントが始まったので谷はすぐにやめて、そっちのセットに回って新しい芝居に向かう。他のメンバーも新しいコントを演じ始めている。
そこへ、まだスタジオの奥から歌声が流れてくる「赤い夕日に照らされて、友は野末の石の下~~」
誰だ、まだ歌っているのは早く止めさせろと、何も知らないハナ肇。おかしさをこらえている植木と谷。
テレビが生放送しかない時代。クレージーの面々も若かった良き時代のことだ。この新しいエピソードを本日も私たちのために明かしてくれた。
帰り道、国井さんがしきりに植木さんの話術に感心する。すごいなあ、すごいなあ。かく言う国井さん自身当代きっての話の名手なのだ。「プロジェクトX」の座談の素晴らしさは衆人がみとめるところ。その国井さんが、植木さんが話す間、実に嬉しそうに話しを聞いていたのだ。この二人の2ショットを見られることは、番組を作る者の冥利だ。
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