北陸は大雪
寒い韓国から帰ったら、日本も寒波の中にあった。北陸東北が大雪にみまわれているとニュースは伝えている。ここ数年、北陸に年の暮れに大雪が降ることはなかった。驚いて、敦賀で一人で暮らす母に電話した。土曜から日曜の朝にかけて30センチ、その前からの雪と重なって外は80センチほどになっていると母は話した。その上冷え込みがきついので、表面がカチンカチンに凍っている。
週始めに末弟が東京から帰って雪かきをし、週末は次弟が大阪から見舞いに行ったそうだ。買い物に不自由しているだろうと野菜と魚をもってきたと母は大阪のことをうれしそうに語っていた。少し後ろめたい気持。家が心配で離れることはできない、町内の人がよくみてくれるからと、答えてくれたが、やはり心が重くなる。
まあ、無理しないであまり外へ出ないように、転ぶのが一番危険だぞと言い置いて電話を切った。
近年暖冬が続いた。地球の温暖化だ、異変が起きているとこの現象を危ぶんできたが、雪が降ったら降ったで個人としてはせつない。
幼い頃を思う。雪が降ると台風襲来のときのように心が躍った。朝、目が覚めると障子を通してまぶしい光が入り込む。「あっ、雪だ」と叫んで、足袋もはかずに長靴をつっかけて庭に下りた。朝食前には雪まろげに熱中して汗だくになった。早く下着を着替えてと言う母の声に促されて家に戻る。雪が入った長靴をストーブの前に並べた。しばらくすると靴から湯気が立ち上がってくる。母が熱いお茶を私の前に置く。「学校へ行くときは雪道から離れてはいけない、特にツララの下は危ないから」と言う言葉を、うわのそらで私は聞きながら、長靴の湯気を見ていた。
その頃の母はまだ30代だったのだ。
母が大津から敦賀へ嫁ぐと決まったとき、祖父は母にヤミで手に入れた長靴を呉れたと、母は短歌に詠んでいる。昭和21年の冬だ。それから母は雪国にずっと暮らしてきたのか。
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光る海見せたや母に雪国の