W・Gゼーバルト
全く偶然手にとった。『目眩まし』というタイトルが投げ出されていて、ひっかかるものを感じた。ゼーバルトコレクションとある。誰だろう。
5つの配本から成るコレクションの解説の顔ぶれが、堀江敏幸、池内紀、柴田元幸、細見和之、池澤夏樹、多和田葉子。みな私の気になる人ばかり。そういう人たちがすすめる本て何だろう、と思ってページを繰ったのが、W・Gゼーバルトの『目眩まし』だった。
買ったのは昨夜。帰りの電車で読み始めたら止まらなくなり、ベッドに寝転んで読みふけった。4つの作品が収載されているが、『目眩まし』の通奏低音は旅だ。しかも「暗い旅」だ。倉橋由美子の同名の小説を連想する。
登場する人物は、カフカやスタンダールの分身。その影と作者は連れ立って旅している。作品世界がもつその雰囲気に、イチコロで心をもっていかれた。久しぶりだなあ。
とり急ぎ心に留まった一節を備忘しておく。イタリア、ピエモントの墓地で作者が見つけたという墓碑銘。
〈風立つなら 駆けよ、駆けよ 風立つなら 立ち止まるな〉
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