映画3題
今週は映画を3本見た。「スリーパーズ」「故郷への遠い道」「アナザーカントリー」
前の2本はBS深夜劇場で、3本目はDVDで見た。時差ぼけが残って、たまたま夜更かししていて映画を見続けたのだ。
ブラッド・ピット出演ということで話題になった「スリーパーズ」は予想以上に面白かった。少年院での虐待の傷を持つ男たちの復讐を軸とした法廷劇で、シリアスな内容だがハリウッドらしいどんでん返しも用意されていて、娯楽作品としても脚本の流れは悪くない。もっとも悪い看守(ケビン・ベーコン)があっけなく最初に殺されてしまうのが奇異に思えたが、映画の終わりにこのストーリーは実際にあったことと字幕が出て納得した。イタリア系家族にある家庭内暴力にプアホワイトの闇を見た。ロバート・デニーロの神父の葛藤をさらにえぐれば、単なるオールスター映画でない深い作品になったと思ったが。 星3つ半。
「故郷への遠い道」は一度見たことがあるようだ。(そのときは気に入らず、結末をしっかり覚えていない)
父と喧嘩して殺しかけた少年が家を出て、15年後に帰郷する話。ポーランドからの移民の憂いに満ちた話。父と息子が最後には和解するというありふれた話で、キャスティングも地味な役者ばかりだが、最後まで見させる。ここでも、豊かなアメリカの裏側が押し付けがましくなく描かれていた。星3つ。
ロンドンでノティングヒルという標識を目にしたとき、SU先生とヒュー・グラントの話になった。先生は彼のデビュー作「アナザーカントリー」がよかったですよという言葉が気になり、帰国後TSUTAYAからDVDをレンタルして昨夜見た。
ヒュー・グラントは出演していない。先生の勘違いだろう。が、映画は面白かった。1920年代、イギリスのパブリックスクールでの“ボーイズラブ”の物語。男子寄宿学校の仕組みや階級社会の文化などが分からないと把握しにくい点はいくつかあるが、人物の描写は見るべきものがあった。なにより、ロシア革命の衝撃が世界に広がっていく時代の気分がよく表れていた。スペイン内戦のとき、イギリスから若い義勇兵が多く駆けつけた史実を思い出した。
私は30年前、スペイン内戦に深い関心をもったことがあって、イギリスで出版された関係書を数冊読んだことがある。この映画を見ていて、その義勇兵に託した思いをまざまざと思い出した。アナザーカントリーの2つの意味、共産主義と同性愛へ迫るモチーフにはそれほど心を動かされることがなく、もっぱら若さの残酷さと傷つけられやすい精神ばかりを、私は追っていた。ただ一度見ただけでは腑に落ちない点がいくつかあった。今夜もう一度見直そうと思っている。星4つ半。
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