転形期ならぬ転換期
先週金曜日のETV特集のブラックライブス・マターは面白かった。パンデミックという災厄の中で人類は改善という善を目指しているという逆説を主題にしたストレートトークはスマッシュヒットだ。プロデューサーの矢吹、東野両氏の見識の高さに敬意を表したい。そしてMCを担当した道伝さんにも大きな拍手を送りたい。彼女の起用からテレビは新しい手法を獲得したような気がする。シンボル扱いのMCでなくまさに考えるキャスターであった。それも母国語でなく質問応答してリアルタイムでアジェンダを浮かび上がらせる技能と能力に感服した。
話はさておき、この番組で心に残ったのはジャック・アタリの指摘したことー2020のパンデミックは人類にとって1945の戦争終結、1984の冷戦終結と並んで100年に一度のエポックメーキングなことという言葉だ。
日本人の感覚でいえば、1995の阪神淡路大震災、2011の東北大震災のほうが大きいと思うが、世界スケールでは上の3つなんだ。歴史のうねりというものは後世になって見えてくるもので、当座にあってはなかなか見えないものだ。だからその時点を転形期という幅をもった時期にはめ込もうとするが、2020パンデミックははっきり2020年の2月からその年の終わりまでという転換点という特異点になるのじゃないか。
コロナはついに身近に迫ってきた。長年愛顧していた居酒屋「××目黒駅前店」が店じまいをすることになった。1本90円の焼き鳥と2合の熱燗だけが楽しみだったのだが、そこが消える。ベテランのホール担当女性は突如告知されたとショックを受けていた。飲食業は不景気の波がもろにやって来た。
どうやら社会はきっぱりと変化していくことに決めたようだが、その現場にいる人たちのくらしや人生は虫けらのようにして蹂躙されることになりつつある。この歴史の不条理に対して、小さな存在はどうやって抗議できるのか。
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