カーディフまで
イギリス六日目の朝10時、グラスゴーセントラル駅発ペンザンス行きに乗る。これからロンドンまで延べ7時間の旅に出る。バージン急行の美しい車体、先頭から2輌目の向かい合わせのテーブル席に座る。
電車がのろいのか距離が長いのかノンストップでカーライルまで1時間半かかった。ここから湖水地方の美しい景色が始まる。おおいに期待する。
ランカスターを過ぎたあたりから霧が発生する。木立がシルエットになったりにじんだり、川面を霧が這ったり、幻想的な風景が続く。いつのまにか眠った。
目が覚めると列車はスタフォード付近を走行。深い霧のため徐行運転である。このまま霧の中に消えてゆきたい気もする。
バーミンガム、14時25分着。この町だけ日がさしている。そこを出るとまた深い霧だ。
15時過ぎ、ブリストルで下りて電車を乗り換える。それまで乗っていたペンザンス行きの列車があっと言う間に霧の中で消えていった。

乗り換えた電車はロンドンとは反対方向へ進む。ここからウェールズ地方だ。ここも分権意識の強い地域だ。何と言ったってウェールズ語を公用化しているのだ。カーディフはこの地方の首都。駅名が英語とウェールズ語の両方が書かれてある。たしか日本で活躍する作家C・Wニコルさんはここの出身だったと思ったが。


町はなんとなく懐かしい尾道のような港町の雰囲気が漂う。観光化していない古い城壁も好もしい。道路を横断して張られたクリスマスイルミネーションだけが輝いていた。
ロンドン行きの電車を待つ間に夕食をとる。町の大衆食堂だ。一人で食べている老人が目に付いた。一人暮らしの人たちだろう。わびしさは否めないが毅然と食事をする姿は美しかった。田舎で暮らす母を思った。
そしてロンドン行きの電車を乗るところで大失敗をしでかした。
18時20分発パディントン行きの電車に乗ろうと5番ホームへ上がると、2両連結の薄汚い電車が到着していた。慌てて乗り込み、私、TO,SUが座席を確保していると、窓外でSA,TAが降りろと手まねきしている。どうやら電車を間違えたらしい。デッキにいた私はドアオープンのボタンを押すが、ロックが架かって開かない。そのうち電車は音もなく動き出し、ホームに残された二人は唖然とこちらを見ていた。(この話続く)
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