度し難い貧富の差
私がイギリスへ旅立つと入れ替わりに南米から帰国した同僚がいる。先週
ランチミーティングをもったとき、現地の事情を聞いた。
彼女はコロンビアに住む友人の誘いに応じて、コロンビア、ボリビア、ペルーと回ってきた。首都ボゴタに着いた日、その友人が悪いけど約束が入って行かなくてはならないから同行してくれない、と頼まれた。赴いたら副首相の官邸で、夫妻を囲んでの晩餐会だった。会は盛り上がってそのまま一行は市内のクラブに繰り出し、夜遅くまでおしゃべりに興じた。その間、ずっと7,8人の屈強のボディガードが回りを取り囲んでいた。
コロンビアの友人とはスペイン出身の名の知れたジャーナリストだ。辛口の記事で人気があるそうだ。バリバリ仕事をする代わりにハウスキーピングは、現地人のお手伝いに任せている。掃除、洗濯から買い物、食事まですっかりやってくれて、日に10ドル。
この相場だから、コロンビアの上流階級の妻というのは家事はもちろん育児すらしなくてもいい。すべて安い労働力がやってくれる。もっぱら、夫婦でパーティにうつつを抜かし夜毎酔っ払っている。
同僚が現地でいちばん驚いたこと、と話してくれた。
夜になると車は赤信号でもけっして停まらないのだ。なまじストップでもしようものならすぐゲリラがやってきてホールドアップさせられて誘拐されるからだ。上層の人間で誘拐に巻き込まれた人はいないほど、この国では常態化している。
パーティと誘拐――南米社会の矛盾はちょっとやそっとではなくならないだろう、と私の同僚はため息をついた。
フジモリ元大統領の言い分がすべて正しいとは思えないが、インディオたち貧しい民衆が一時的であれ希望をいだいたのは、それなりに理由があるようだ。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング