24時
4年前にこのブログに書いた「E君」という記事を読み返した。68歳のときに書いたものだ。
江口は神戸に生まれ神戸で生きてきた。大学時代だけ金沢に住み、そこで私と出会った。業界新聞の記者として関西で活躍した。1995年に阪神淡路大震災に遭遇する。そこから20年経ったと長い手紙を送ってきた。来し方を見つめ恬淡と述べてあったが、最後の段落で数年前に癌を患い、いままた網膜剥離という「眼」を病んでいるという言葉が気になった。そこで、高山に住む谷口に声をかけて神戸に会いに行った。40年ぶりに再会を果たした。江口は大きくやつれていた。半年後に訃報を聞いた。
江口の手紙をもらったときに書いた「E君」に、私は自分の年齢を3で割って、22・66666という数字を書き残している。人生年表を午前0時に生まれ24時に終わりとすれば、そのとき私らは午後10時半過ぎにいるということをたしかめた。だが江口は午後11時をむかえる前に死んだ。少し早いよ。
そして今、私は72。3で割ると24と出た。――そうか、ノーサイドの時刻を迎えていたのだ。感傷ではなくその数字をじっと見つめる。
うどんを食い、どんぶりを横に置いて、ベッドのそばでパソコンを打っている。シーツを取り換えに来た家人がどんぶりを見て、出しっぱなしにして、だらしない。早く片付けろと悪態をつく。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング