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富士正晴さんのこと

安威の仙人、竹林の隠者
富士正晴さんのこと_c0048132_2235884.jpg

 昔、富士正晴の番組を制作したことがある。富士は「バイキング」という
関西文学の中心のような同人誌の主宰者として知られていた。島尾敏雄や開高健が
そこから出たこともあって、伯楽の誉れが高かった。
彼が死去して2年経っていたが、岩波から著作集が発売されたり、
展覧会が開かれたりしてちょっとしたブームだった。

 一方、彼は関西の落語や日本舞踊などにも目が利き、話せる文化人一家言ある知識人として活躍もしていた。といっても変人で権威が嫌いで権力をおちょくり、茨木の草深い安威に農家を改造した家に住んだ。人は「竹林の隠者」とも「安威の仙人」とも呼んだ。

 私が取材したときは死んでいたから、生前の富士には会ったことがない。だが関係者から話を聞くと、面白いエピソードが「たんと」出てきた。
 富士の権威嫌いは徹底していてどんな処へ出ようともマイペースを崩さない。というよりいささか偽悪趣味がある。人の顰蹙を買うことをわざとやることが多い。
富士正晴さんのこと_c0048132_22335325.jpg
富士さんの書画

 昭和10年ごろから、富士は伊東静雄と交友している。伊東は住吉中学の教師で生真面目な性格だった。この二人が投合することが不思議だが、よく会っていたようだ。
伊東は富士をいつも腹立たしく思い、ちくちく皮肉を言った。富士は平気な顔をして聞いていたが内心はこたえていた。富士は伊東の詩が好きだから褒めた。過度に褒めた。すると元気がでた伊東は、「そうか、あなたはこの詩がそんなに好きか」といって、その詩に富士正晴にという但しを付けたという。それは長女のことを歌った詩で「砂の花」という原題だったが、後に深読みする評論家が、これは富士を批判した詩だと書いた。そんなことではあるまいしといって、後年富士は茶化している。

文学史的事件がある。昭和19年、伊東を慕う平岡公威が徴兵検査のため西下したとき、伊東を訪ねた。処女作「花ざかりの森」の出版の進捗をたしかめるためだ。伊東は編集をやっていた富士に頼んでおいたが、その富士は数ヶ月前に召集されていて頓挫していた。
 たまたま一時帰休でもどっていた富士も来た。つまり富士正晴、伊東静雄、三島由紀夫が昭和19年5月17日に会ったのだ。
約束どおり、その後三島の処女作は富士の手で出版されることになる。

 伊東が死んで何年も経った頃、富士は伊東が京大時代に下宿していた吉田神社裏を歩いて、彼が脳貧血で倒れたという銭湯をのぞく。そこで親切にされたということを伊東は富士に語っていたことを思い出したのだ。記念にと、銭湯の流し場の板を富士は一枚もらって帰る。へそ曲がりの富士は伊東が好きだったのだが、そういう表現しかできない。

 茨木安威の富士の家はそういうわけの分からないものが一杯あった。私が取材した頃は
家は無人となっていた。子息に許可をもらって、富士の仕事場を撮影した。大事な原稿、書画、蔵書は移転されて、空の本棚や机だけだった。でも、玄関のたたきに富士の筆跡の反古紙が一枚落ちていた。私は断ってそれをもらった。なんてことない落書きだがうれしかった。今、私は古い取材ノートにはさんである。

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by yamato-y | 2005-11-06 22:34 | シリーズ作品回顧 | Comments(0)
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