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想起(アムネーシス)について

 想起について 


人の記憶というものは不思議だ。長く忘れていたことが突如としてよみがえることがある。撮影という非日常ではそういうことを招きやすいということを、私は体験的に知っている。想起という不思議な力が湧いてきて、劇的なことが起こりやすくなるのだ。

こんなことがあった。
 1963年の夏、原水爆禁止大会の模様を伝えるため、作家大江健三郎さんは編集者の安江良介さんとともに広島を訪れた。このとき書かれたのが名作『ヒロシマノート』。その冒頭に、《僕については、最初の息子が瀕死の状態でガラス箱のなかに横たわったまま快復のみこみはまったくたたない始末であったし、安江君は、かれの最初の娘を亡くしたところだった》と、大江さんは自分たちの置かれた事情について書いている。
 その年の初め、安江さんの生まれた長女は死産だった。6月に生まれた大江さんの長男光さんは脳に障害をもっていた。そして手術をするかどうか大江さんは迷った。その葛藤から逃れるようにして大江さんは広島へ行った。そして8月6日原爆の日、平和大橋の下を流れる川で灯篭流しが開かれ、二人は参加した。編集者の安江さんは長女を弔うため灯篭に名前を書いて流した。このときのことを大江さんは『ヒロシマノート』にこう記している。《広島で過ごす最後の夜、僕は核戦争についてのヒステリックなほどの恐怖感とともに生き、そのあげくパリで自殺した友人のために施餓鬼流燈供養、すなわち燈籠流しにでかける。》これ以上のことは書いていない。

 それから31年経った1994年の8月6日、同じ太田川の現場で私は大江さんにインタビューした。私は光さんが生まれた年の広島について丹念に聞いていった。1時間ほど経過しときのことだ。大江さんはあっと言う声をあげた。「僕はあのとき、安江君の流す灯篭に僕と光の名前も書いて流そうとしたんだ。」忘れていた記憶が火花のようによみがえったのだ。「安江君は、何をしているの光さんはまだ生きているじゃないの、と強く僕をたしなめた」そう言って、大江さんはうなだれた。

 この記憶は大江さんにとって忘れ去りたい事実だったのだろう。無意識に記憶を封印していたのだ。それがカメラを向けられマイクを差し出された非日常の場面で、抑圧のカーテンが取り払われ、記憶が蘇ったのだ。
 この出来事はそこに居合わせて私にとっても大きな衝撃を与えられたことは、言うまでもない。
想起(アムネーシス)について_c0048132_1395456.jpg


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by yamato-y | 2005-11-06 01:29 | シリーズ作品回顧 | Comments(0)
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