複雑な気持ち
昨夜打ち合わせで渋谷に出た。台風一過で町は普段以上に賑わい、たくさんのインバウンドたちがナイトツアーを楽しんでいた。町に平和が戻った感じに少しセンチメンタルな気分に私はなっていたかもしれない。
9時近くのスクランブル交差点まで戻ってくると号外を配る人がいて何だろうと訝しんだ。まさか内閣改造で刷ったわけでもないだろう、今回の台風被害かと暗い気持ちになったが、ノーベル賞に日本人が選出されたと知って少し気持ちが高揚した。
山手線のホームに上がると、ちょうど内回りが発車寸前であわてて飛び乗る。女性専用車両だったらしい、周りはほとんど女性。息を切りながらつり革をもつと、前の若い女性が腰を上げてどうぞと手招きした。一瞬何のことか判らないまま驚いているとその人は立ち上がって待っていてくれる。どうやら席を譲られたらしい。あわてて手を振ってお礼を言ってその場を離れた。
――そうか、私は庇護される対象とみられたか、老人なのだ。なんとも苦いものがこみ上げてきた。車窓に映る自分の影がこころなしか弱々しい。秋の深い夜の闇を切り裂くように山手線の列車はガーデンプレイスの丘を下った。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれません
人気blogランキング