これといって変わりなく
世間は連休で華やいでいるようだが、身共にはさっぱり影響などない。当然か。齢七十にしてほとんどの「公職」から降りた身の上では、新たな風など吹くわけもない。
この数日は近くに出来たタリーズのテーブルにどっかり腰を下ろして、読書とパソコンの三昧に明け暮れておる。テレビを見ても新たな発見興奮を催すようなものも多くなく、定時のニュースの看板だけ見るということが続いている。あれほどテレビ人間だった我が身の変わりように自ら呆れている。
その代わり、新しい図書館をまた開拓した。現在の住所は品川区だが、外れで周りは港区と目黒区が隣接している。これまで目黒川沿いの目黒区民センター付属図書館を利用してきた。スポーツジムも傍らにあって利用しやすいのだ。難点は蔵書が新しくもなく古くもない中途半端なこと。4年ほどの間に読みたい本がすっかり減った。
困っていたら、港区の高輪図書館を見つけた。方角は目黒と真反対だが、距離はほとんど同じ。なにより新しい作品が多いことが嬉しい。と言って、本日借りたのは青柳いずみこ「青柳瑞穂の生涯ー真贋のあわいに」。これを夕方から読み始めたのだが滅法面白い。瑞穂の骨董噺は以前から聞いてはいたが、これほどたいしたものだとは知らなかった。作者は瑞穂の孫娘。ピアニスト、音楽評論家としては知られているが、かくも文学や骨董に造詣が深いとは知らなかった。文章も達者だ。とにかく今夜はこれに没頭することになるだろう。