晩年の傑作「ダフニスとクロエー」
岩波書店からシャガールの「ダフニスとクロエー」の画集が出版された。
特装版で読む。すばらしい画集だ。文章は3世紀のギリシアの作家ロンゴス。それを画像化したのがシャガール。美しい愛の物語にふさわしい深い色彩の画が並ぶ。
一見、ナイーブに見える構図、形。二つの顔を融合させた像。天使、牧神。
光あふれるエーゲ海の話を見事に描出している。
でも、私が好きなのは、シャガールの浮遊感覚だ。愛し合う若者と娘が抱き合ったまま、空中に浮いている。シャガールがよく使う手法だ。
上の空とか天にも昇る思いとか、有頂天だったり夢中だったりするとき、意識はふわふわ浮遊する感じがある。そういう意識をシャガールは正確に取り出している。
この連作画集を見ていて、こういうト-ンの映像を作り出せないかと、考え込んでしまう。
シャガールは、たしかロシアにいたユダヤ人の家系だ。「屋根の上のヴァイオリン弾き」の境遇の人たちだ。この人々の胸の奥にそっと重ねられた夢の数々。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング