霜柱の立った日に(日曜日のことだ)
久しぶりに劇場で映画を見た。やはりDVD でモニター画面で見る「映画」とは違う。映画の持つ情感に触れた。目黒シネマは2番館の良さがあって2本立てである。この日見たのはハリウッドの「ラブアゲイン」と「ラ.ラ.ランド」ある。「ララ.ランド」がミュージカルであることは承知していたが、オスカーで6部門受賞した作品と聞いて見てみることにした。タカをくくっていた。
物語前半から躍動するエマ.ストーンは魅力的。ソバカスだらけのファニーな表情は純情田舎娘と思っていたら然にあらず、生意気で小賢しい。そこがいい。まさかラストでオトナになったエマがあんなに切ない芝居を見せてくれるとは予想もしなかった。でもさらにいいのが相手役のライアン.ゴズリングだ。「ラブアゲイン」では薄っぺらいナンパ男を演じていたが、この作品ではジャズを一途に愛する生一本のピアニストに扮して熱演していた。たった3ヶ月の特訓であれほどのピアノを弾きこなしたというのは信じられない。余程の練習を積んだのだろうと感動させた。だがライアンはそんなことを気振りにも見せない。
お話は売れない女優の玉子とウダツの上がらないピアニストの物語で、四季の移り変わりに合わせて恋が進展するが、突如運命が暗転する。お決まりの悲恋ストーリーとまとめることも出来るが、見ているうちになんとも言えない情感というか哀しみがフツフツと湧いてくる。脚本がいいのか演出が鋭いのか役者が上手いのか判然しないのだが、後半ドラマはがグーンとドライブがかかる。ハリウッドスタイルの醍醐味を久しぶりに堪能。この日は冬一番の寒さで、劇場が配るブランケットに身をくるんで鑑賞したが、2時間間然とするところがなかった。
帰りがけに映画のチラシを読むと、監督のデミアン.チャズルはまだ32歳と知ってたまげた。これから30代の才能がどんどん出てくるだろう。日本でも二人いることを私は知っている。